6K/30p対応ドローンとして大注目のAUTEL EVO II Pro。先日開催された「Japan Drone 2020」でもEVO IIシリーズが展示されているKMTのブースは人が途切れることはありませんでした。今回は実際にフライトすることができましたので、ファーストインプレッションをお届けしたいと思います。
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フライトアプリ「Autel Explorer」チェック
フライトには「Autel Explorer」をスマホにインストールします。このアプリは、特にユーザー登録や通信を必要としないため、初めてのフライトでもすぐに始めることができます。このあたり、セキュリティ面でも売りにしているところですね(※2020年10月5日現在英語版のみ)。
Autel Explorerの画面はシンプルで見やすい構成。主に上部に機体高度や距離などのパラメータ関連、下部にカメラ設定関連の情報が表示されます。中央には障害物センサーのアラート表示が出ますが、フリーハンドのようなラインが出てきて障害物の凹凸や距離が表示されるので直感的にわかりやすい印象です。
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設定画面はDJIユーザーならすぐに理解しやすい一般的(DJI的)な構成。注意点は「Speed Mode」が「Standard(18km/h・36km/h)」「Ludicrous(54km/h・72km/h)」と選択する仕様になっていることです。DJIの機体で例えると下記のようなイメージです。物理的なスイッチはなく、アプリ設定で変更する必要があります。
- Standard(18km/h):Trypodモード
- Standard(36km/h):通常Pモード(少し遅め)
- Ludicrous(54km/h):通常Pモード
- Ludicrous(72km/h):Sportsモード
キビキビした軽快な動き!機動力がある反面、はじめは注意が必要
では、さっそくフライトです。ホバリングはとても安定した印象。プロペラ音はDJI Mavic 2と比較すると少し低音よりの音がします。正確に測ったわけではありませんが、印象としてはMavic 2よりも気になる音量かもしれません。
Ludicrous(54km/h)モードで飛行。Standard(36km/h)モードでもあまり変わらなかった
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動きは初動が機敏で、映像を見ての通り機体が大きく傾きます。Mavic 2ユーザーは少し違和感を感じるかも知れませんね。また、初動が機敏なので、障害物の近くなどではちょっとしたスティック入力で大きく動いてしまい、接触の危険性があるかも知れません。
ただ、ビジュアル型障害物検知センサーが6面(前後左右上下)×2個ずつ設置されて360°監視できるのもEVO IIの特徴です。障害物検知センサーの感度もテストしてみました。モニタリングはかなり詳細にされている様子で、右側の壁のカタチや距離を解像度高く捉えフリーハンドのような障害物検知センサーの検知表示が細かく変化していました(最終的には障害物が3.5~2.5mほど前方に現れた時点で進めなくなりました)。
驚きの高解像度、6K画質の実力は?
簡易的ではありますが気になる映像もチェックしていきます。YouTubeでは表現しきれていない解像度なので元ファイルをダウンロードできるようにしましたのでご確認ください。6K(5472×3076px)の映像はとてもきめ細かく魅力的です。ただ、現状の用途を考えるとクロップ(切り抜き)して映像編集するための高解像度撮影…という感じになるかもしれません。
カメラ設定オート・色味調整。EVO II Proは6K、Mavic 2 Proは4Kで撮影
また、EVO II Proの未加工映像をMavic 2 Proの未加工映像と比較すると色表現はMavic 2 Proのほうが個人的には魅力的でした。これはHasselbladの技術を応用したカラーマネージメントの効果でしょうか。もちろん、色調整や編集する前提であれば問題ないかと思います。
カメラ設定オート・色味調整
高解像度なのでデジタルズームも活用できます。デジタルで8倍までズームできるようになっていますが、残念だったのはシームレスに倍率を変えることができない点ですね。シームレスに倍率が変えられば被写体に寄っていったり離れていったりというMavic 2 Zoomのような使い方ができたのですが、現状は2倍⇒3倍⇒4倍…と倍率を選ぶカタチになっています。このあたり、ソフトウェアで改善もできるので今後に期待したいと思います。
カメラ設定オート・色味調整
もちろん、写真も6Kで撮影可能です。こちらも元ファイルをダウンロードできるようにしましたのでご確認ください。写真は高解像度に越したことはないですね。
高解像度+飛行安定+映像伝送も問題なし細かな工夫も多数!
映像伝送の乱れもなく、快適に撮影ができた印象のAUTEL EVO II Pro。基本性能はとても高く、DJIの独壇場だったコンパクトな高画質ドローンのポジションの一部を担うのは確実と思われます。
また、6K映像の用途としてまだ限定的な感もあるものの、将来的にカメラの別売り・換装が可能であったり、簡易的であれば別売りパーツ購入等で自己メンテナンスが可能になる予定であったりとDJIにはない仕組みの提供が魅力的ですね。
筆者が個人的に感心したのは、プロポへのスマホの装着が本体の上方にできたり、プロポのアンテナが下側に寝かせることができたり(プロポの上方にスマホがあるとアンテナを上方に立てにくい)、さらにはGNSSが入らない室内飛行で7.5m飛べる(Mavic 2 は5m程度が上限)など細かい点が工夫されている点です。一部の人が喜ぶ工夫かも知れませんが、かゆいところに手が届いている感じがします。
反面、プロポに物理的なボタンが少なく、基本的にはアプリから設定変更をするところは好みがわかれるところ(飛行スピードモードもアプリから変更)です。もしかしたらアプリアップデートによりさまざまな機能が追加されるためあえて物理的なボタンを減らした…のかもしれませんね(個人的な期待です)。
次回、[後編]は、インテリジェンスフライトモードや映像伝送システム「LIVE DECK」などギミック的な要素も検証していきたいと思います。