「Skydio」を活用したユースケースを紹介
ブースの中央では、GPSが届かない環境でも自律飛行が可能な「Skydio」を用いた、インフラ・建設業界におけるユースケースが紹介されていた。
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インフラ・建設業界では、設備の老朽化や人員不足などの課題に対しドローン活用が進められているが、「ドローンは、実証実験で終わってしまうことも多いため、NTT Comは、切磋琢磨しながら現場適応を支援している。次のステップに向かうために、すでに実装している各社の協力を得て、建設やプラントなどインフラ関係のユースケースを紹介している」と担当者は話す。
また、建設現場の進捗管理業務などでドローン活用が進んでいるものの、実際には、ドローンの活用は他作業が行われていない時間帯に実施する必要があるため、作業員が朝の5時に現場に行って撮影を行なっているなど、現場の負担を減らしきれていないという現状がある。
NTT Comは、6月、屋外用ドローンポート「Skydio Dock for X2」を使って、静岡県の高速道路の建設現場で、遠隔監視による「カテゴリーⅡ」での飛行場所を特定した補助者なし目視外飛行を実施し、自動巡回を行う実証実験に成功した。
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コントローラーを持った人間がいなくても屋外の建設現場で、ドローンポートのみで自動離着陸及び自動給電を行い、遠隔監視下での自動巡回の可能性が確認できた。技術的実証と法令を遵守した運用上の実証も実施し、これにより屋外の建設現場における進捗管理業務の大幅な省力化が期待できるという。
軌道に乗り始めた「農業ドローン×AI」
最近、大きく進展しているのが農業分野だ。農薬散布は、機械を使い全面的に農薬を散布する方法が一般的だが、現在、農薬や肥料が高騰しているため必要なところだけに撒きたいというニーズは多い。例えば、酪農における牧草生産において、ドローンを使って上空から画像を撮影し、AI画像認識により雑草を自動検出できれば、検出データからピンポイントで部分農薬散布が可能になる。
雑草だけでなく病理株の検出、建物の傷や穴など、AIで検出するとピンポイントで対処することができ、効率化が期待できる。
担当者は、「農業分野にAIが入ってきたのは3、4年前だが、成果が出始めたのは最近になってから。AI も万能ではないので、雑草や病気の作物の画像をたくさん集め学習させなければならない。データを作り上げるのは大変だが、完成すると人の代わりができるということがわかってきた。NTT Comは、AIなどのソフトウェアを含めたソリューションを行うことができるのが強み」だと語る。また、「農家さんは横のつながりが強く、リーダーになる人が使い始めると一気に活用が広がっていく。これは、参入して初めて気づいたことだが、失敗を積み重ね、やっと最近軌道に乗ってきたと感じている」とサービスを実装していく際の課題や取り組みについて話した。
モバイルネットワークを活用したセルラードローン
セルラードローンの展示コーナーでは、レベル4飛行に必要な上空でモバイル通信を利用できる「LTE 上空利用プラン」を使ったソリューションを紹介していた。具体的には、「ANAFI Ai」を使った映像伝送、NTTデータと協業した運行管理システム「airpaletteUTM」を紹介。物流では、和歌山県で災害・平時での運用に向けた、ドローンによる医薬品配送の実証を行い、配送元から病院まで1.5キロのルートを自動飛行させた事例を紹介していた。輸送時の温度管理や受け取り時にAI 顔認証サービス「SAFR」を用いて受領者認証を行うなど、運ぶだけでなく、受け取り方までトータルで実証を行っているという。
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今後について、担当者は、「どこの会社でも次の一手が難しい。空撮や農業散布、測量などはドローンビジネスとして実装されているが、物流や点検など、なかなかビジネスとして実装している例はあまりない。どうすればビジネスとして成り立っていくのか。医療品配送の実証でも、医療品の温度管理や受け取り時の本人確認の課題など一つずつ試行している。ドローンの社会実装に向けてこれからも提案していきたい」と話した。
実証から実装へ移行していくときに、ハード面だけではなく、どう活用していくのかといったソフトウェアの部分が重要になる。通信やAI開発に強みを持つNTT Comの今後の取り組みに期待したい。