Anduril Industries(以下:Anduril)は、日本での事業展開をより一層強化すべく、日本法人「Anduril Industries Japan合同会社(アンドゥリル・ジャパン)」を設立したことを発表した。今回の発表は、同盟国の防衛・安全保障能力の強化およびインド太平洋地域の安定に貢献するというAndurilの取り組みを大きく進めるものである。
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世界秩序の維持にあたり、先進技術の迅速な導入、短納期での提供、大量生産、そして脅威の変化のスピードに合わせてシステムを調整・更新できる能力の重要性が一層高まっていることを浮き彫りにしている。日本政府もまた、防衛力の抜本的強化を目指し、2027年に始まる新たな5カ年の防衛力整備計画を策定する意向を示しており、様々な検討が進むと考えられている。複雑化する安全保障環境の中で、日本がいかに強靭性と即応性を強化していくかについて、重要な議論が交わされる期間になると見込まれる。
Andurilの日本における事業展開には固有の背景がある。Andurilは、日本で培われてきた防衛関連の生産に関する豊富な経験と、国家として喫緊の優先課題に根差して、事業を展開していくことを目指している。一方、日本は、ソフトウェア開発や先進製造分野におけるAndurilの技術やノウハウを活用することができる。
Andurilは、日本の独自のニーズを深く理解し、日本のより広範な戦略的ビジョンに沿って即応性とイノベーションを強化する取り組みを支援する、協働的なパートナーシップに注力している。今回の日本における法人設立は、アジア太平洋地域におけるAndurilの事業拡大の一環であり、同盟国において抑止力と能力を高める、俊敏でソフトウェア主導型ソリューションに対する需要の高まりを反映している。
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Andurilは、日本の自衛力の変革を支える協力体制を強固にするものとして、東京に日本法人を開設し、Patrick HollenをAnduril Japanの代表に任命した。Anduril Japanは今後、現地採用を拡大していく。
ホーレンはAnduril入社以前、Raytheon Technologies社に勤務し、米国ミサイル防衛局(MDA)の上級顧問を務めたほか、米海軍に30年間勤務した。2008年には、米連邦議会の法令に基づき設立された、米連邦政府職員の日本に対する理解を深めることを目的とした2年間のマンスフィールド・フェローシップ・プログラムに選出された。フェローシップ期間中、ホーレンは日本の防衛省、国会、内閣官房および国土交通省に配属された。
4つの重点戦略領域
Andurilはすでに日本において、海上自衛隊(JMSDF)がAndurilのオープンかつAI対応のソフトウェア・プラットフォームであるLatticeを活用し、外部の装備・システムや各種データ源を統合・融合することで、状況認識を向上させ、多様な指揮統制を可能にする方法を実証する取り組みを進めている。今後、Anduril Japanは世界の防衛分野における潮流および日本の戦略的優先事項を踏まえた、相互に密接に関連する以下の4つの分野に注力する。
統合防空ミサイル防衛
航空機およびミサイルによる脅威が、その速度・数・複雑性の面で高度化するなか、日本はリアルタイムに適応可能なネットワーク化されたソフトウェア定義型の指揮統制アーキテクチャを求めている。Andurilは、センサー、迎撃手段、そしてオペレーターを一体的に結び付け、システムのシステム(システム・オブ・システムズ)として機能させることで、分散型かつ多層的な防衛を実現する新たなモデルの構築を支援している。
低コスト・スケーラブル・大量生産可能な能力
Andurilが開発を進める、拡張性とコスト効率に優れ、かつ複数の領域にまたがって協調運用できるネットワーク化された打撃システムは、弾薬保有量の拡充や、より分散型の運用コンセプトを追求する日本の関心の高まりと軌を一にしている。Andurilのアプローチの中核には、迅速かつ大規模な生産を可能にする商用・デュアルユース技術およびモジュール設計を重視する姿勢があり、これにより、パートナーがより多くの能力を、より低コストで戦力化できるよう支援する。
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海洋自律システムと水中システム
広大なインド太平洋の海洋環境において、水上・水中の状況を継続的に把握することは、パートナー各国に共通する課題となっている。Andurilは、大型の無人システムからAIを活用したセンシングネットワークに至るまで、抑止力およびパートナー間の連携強化に寄与し得る自律型海洋技術の可能性を探求している。
これらのシステムは、効率的かつ実効的な規模で展開できるよう、スケーラビリティと大量生産性を重視して設計されている。また、オーストラリアでの取り組みから得られた知見は、こうした能力が地域のニーズをいかに最適な形で支援し得るかを検討するうえで、引き続き重要な示唆を与えている。
ヒューマン・マシン・チーミングと高度な自律性
次世代の航空およびマルチドメイン作戦は、人と自律システムとの信頼に基づく協働に大きく依存することになる。Andurilは、AI、自律システム、デジタル基盤に関する取り組みを通じて、この変革を支える土台を築いており、オペレーターがより大規模で、より高度かつ適応力の高い戦力構造を指揮できるようにしている。
未来の防衛力基盤の構築に向けて
Anduril Japanは、単なる物理的拠点や国内チームの拡大にとどまる存在ではなく、それ以上の役割を果たすことを目指している。日本政府が未来の防衛力基盤の構築という重要な取り組みを進めるなかで、同政府との長期的なパートナーシップを築き、深めていくためのまたとない機会であると考えている。日本の自衛および持続的な繁栄のためには、現代的で俊敏な産業基盤が不可欠である。Andurilのイノベーションエコシステムと日本が誇る技術力を結びつけることで、近い将来、変革的な成果を生み出せる可能性がある。
こうした協働はすでに始まっている。日本政府の支援のもと、Andurilは既存の産業施設を防衛生産向けに転用する可能性の検討や、日本の主要大学との連携を通じた先進的なソフトウェアの開発およびAI人材の育成に取り組んでいる。
Andurilの創業者であるPalmer Luckey氏は次のようにコメントしている。
日本には世界でも有数の高度なエンジニアリング人材と製造能力があります。日本の技術的卓越性と当社が培ってきた迅速なイノベーションの経験を組み合わせることで、日本の自律的な防衛能力を強化し、イノベーションを加速し、真のパートナーシップを通じて技術システムを提供する、新たな防衛力整備のモデルを築くことができます。
Anduril Japan代表のPatrick Hollen氏は次のようにコメントしている。
私たちの目標は、日本の産業基盤の一部となることです。Anduril Japanを、日本を代表する優れたエンジニア、デザイナー、科学者が国家への貢献をイノベーションの一形態として捉えることができる場所、すなわちテクノロジーと使命が融合する場所にしたいと考えています。