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愛媛県今治市、南海トラフ地震を想定――今治市からしまなみ海道沿線の大島へ「ドローンによる医療物資輸送」を実証。国家戦略特区の支援でレジリエンスを強化

陸上輸送が途絶えても、来島海峡を越えて10分で命をつなぐ。近未来技術実証ワンストップセンターの伴走支援で実現

2025年11月7日
南海トラフ地震を想定――今治市からしまなみ海道沿線の大島へ「ドローンによる医療物資輸送」を実証。国家戦略特区の支援でレジリエンスを強化[愛媛県今治市]
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今治市が国家戦略特区の一環で設置している「近未来技術実証ワンストップセンター」による支援のもと、斎藤クリニックとイームズロボティクス株式会社と連携し、南海トラフ地震を想定したドローンによる医療品輸送の実証実験を実施した。離陸地点は今治市内の砂場スポーツ公園(今治市砂場町1-662)、着陸地点はしまなみ海道沿線の大島・海宿千年松キャンプ場(今治市吉海町名駒25)。来島海峡上空の片道約4kmを約10分で結び、災害時における島しょ部への医療支援の即応性を検証した。

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Contents
災害時の「途絶」に備える――今治市発、「空の医療輸送ルート」実証実験概要検証で見えた成果――約10分で到達、「空ルート」の有効性を確認ワンストップ支援で、実証から社会実装へ――全国展開可能なモデルづくりを推進

災害時の「途絶」に備える――今治市発、「空の医療輸送ルート」

今回の実証実験は、南海トラフ地震の発生により、しまなみ海道沿線の島しょ部と今治市内を結ぶ「来島海峡大橋」が通行できなくなる事態を想定し、医薬品や手術器具などの緊急物資を島しょ部へ迅速かつ安全に届ける新たな手段の確立を目的として実施された。

主催は斎藤クリニック、技術実施はイームズロボティクス株式会社。10月28日(火)14時30分に、今治市・砂場スポーツ公園から離陸し、大島・海宿千年松キャンプ場まで、来島海峡上空を片道約4km、高度100m・速度10m/sで飛行。輸送重量は約1kg、輸送時間は約10分だった。災害時の孤立を最小化し、医療を「空のルート」でつなぐための実践的な検証である。

南海トラフ地震を想定――今治市からしまなみ海道沿線の大島へ「ドローンによる医療物資輸送」を実証。国家戦略特区の支援でレジリエンスを強化[愛媛県今治市]
来島海峡を越え、大島の着陸地点上空に到達したドローン

実証実験概要

  • 日時:2025年10月28日(火)14:30飛行開始
  • 区間:砂場スポーツ公園(今治市)→ 海宿千年松キャンプ場(大島)
  • 飛行:来島海峡上空 片道約4km/高度100m/速度10m/s/所要約10分
  • 輸送物資:注射器、輸血セット(ダミー)など合計約1kg
  • 機体:イームズロボティクス「UAV-E6106FLMP2」(最大離陸重量14kg)
南海トラフ地震を想定――今治市からしまなみ海道沿線の大島へ「ドローンによる医療物資輸送」を実証。国家戦略特区の支援でレジリエンスを強化[愛媛県今治市]
今回の実証実験の飛行ルート(イメージ) ※国土地理院地図をもとに今治市が作成

検証で見えた成果――約10分で到達、「空ルート」の有効性を確認

実証実験では、飛行中の機体の安定性、気象・風況に応じた運用判断、通信品質、離着陸の安全管理、医療品パッケージの固定と受け渡し手順などを総合的に検証した。

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当日は、(1)発進地点、(2)海上(船上)、(3)着陸地点にオペレーターを一人ずつ配置した。ドローンは自動飛行したが、オペレーターによる目視での安全監視のもと、来島海峡上空を縦断した。着陸地点でオペレーターを務めたのは、今回の実験の主催者であり、斎藤クリニックの医師でもある齋藤早智子院長。船上のオペレーターからドローンの操縦権を譲り受けると、着陸地点にドローンを誘導し、安全に着地。ドローンが運んできた配送用パッケージから注射器や輸血セットなどの医療品を取り出し、無事に輸送が完了したことを確認した。

飛行時間は約10分で、陸上輸送よりも短時間で島しょ部へ物資が到達した。大島以外にも多くの有人島がある今治市特有の地勢において、「空の輸送ルート」が有効であることがあらためて証明された。

齋藤院長は、今回の実験について次のようにコメントしている。

しまなみ海道で陸地部とつながっている島しょ部は、大規模災害が発生した際に孤立してしまう危険性が高い。緊急度の高い傷病者へ迅速に医療を提供するためには、陸上輸送の代わりとなる輸送手段が必要。私自身がドローンの操縦ライセンスを取得しており、空の輸送ルートが利用可能なことを実証できた。今後も今治市と連携して、災害時の輸送手段や医療体制の確保に向けて検討を進め、有事に備えたい。

南海トラフ地震を想定――今治市からしまなみ海道沿線の大島へ「ドローンによる医療物資輸送」を実証。国家戦略特区の支援でレジリエンスを強化[愛媛県今治市]
自身もドローン操縦のライセンスを保有する齋藤院長

ワンストップ支援で、実証から社会実装へ――全国展開可能なモデルづくりを推進

今治市は2015年に指定を受けた国家戦略特区の枠組みを活用し、2021年に「近未来技術実証ワンストップセンター」を設置。自動運転・ドローン・AI/IoT分野の実証実験に際して、実験フィールドの手配、関係機関との調整、地域への周知、事務手続きなどをワンストップで支援している。さらに、実証実験に係る費用の補助制度(上限50万円、補助率1/2以内)を用意し、実証実験を積極的に誘致している。

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これまでにも、複数回のドローンの飛行実験のほか、IoTを活用した実証実験などサポートしてきた実績がある、実証フィールドとしての知見を蓄積。円滑な実証実験の実施につなげている。

今治市では、今後も近未来技術実証ワンストップセンターでの支援を通じ、災害対応のみならず様々な分野でのドローンの活用やその他の近未来技術の実証実験を推進し、社会実装を目指して取り組むことで、全国への展開が可能なモデルとして磨き上げていくという。

今治市近未来技術実証ワンストップセンターHP

南海トラフ地震を想定――今治市からしまなみ海道沿線の大島へ「ドローンによる医療物資輸送」を実証。国家戦略特区の支援でレジリエンスを強化[愛媛県今治市]

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TAGGED: ドローン, 南海トラフ大地震, 近未来技術実証ワンストップセンター
masuko 2025年11月7日
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