2025年1月、埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受け、国土交通省は全国自治体に対し、緊急の下水道調査を要請した。その中では、ドローンやカメラなどデジタル技術活用することの重要性も明記されている。
こうした社会的背景を踏まえ、大阪府富田林市では、将来の活用検討に先立ち、屋内点検用球体ドローン「ELIOS 3」 を活用した下水道点検技術の検証を実施した。当日は府内約15の自治体から行政関係者が参加し、その有効性を現場で確認する機会となった。
点検の現場が抱える苦労と、ドローンへの期待
下水道管路内の環境は、常に流水があるほか、硫化水素の発生や下水汚泥の堆積によって、作業員の安全が確保できない箇所も多く、調査の安全性や効率性に課題がある。
こうしたインフラの課題に対し、ブルーイノベーションは2018年より、屋内飛行に特化した球体ドローン「ELIOS」シリーズを活用した点検ソリューションを提供。人が立ち入ることなく、安全に点検が可能となるだけでなく、点検スピードの大幅向上も期待できるという。
従来の下水道点検では、ビデオカメラを搭載したロボットによる点検も行われてきたが、たとえば管径1000mmの管路では、天井との距離があり、劣化やひび割れの発見精度に課題があった。一方、ELIOSは天井や壁面に近づいて至近距離から接写が可能で、管の継ぎ目や構造劣化の詳細なども鮮明に把握可能である。
実証の様子
今回の検証は、富田林市内にある2種類の暗渠で実施された。1つは2200×1800mmのボックスカルバート、もう1つはΦ1500mmの管渠である。
いずれも、パイロットは地上の安全な場所から、ELIOS 3がリアルタイムで送られる映像を確認しながら操縦した。

GPSが届かない屋内環境下でも独自のSLAM技術により機体は安定して飛行し、搭載された高輝度LEDライトと高解像度カメラにより、内部の状況を鮮明に可視化した。地上からでも容易に状況を把握でき、参加者の理解も深まった。
また、市の職員も把握していなかった管の合流部の堆積状況も確認される場面もあり、技術の有効性を実感する声も上がった。

機体から送信される映像は、外部モニターに映し出し、参加者も同時に視聴した。参加者からは「予想以上に綺麗な映像が見れる」「飛行も安定していて、安心して見ていられる」といった声が寄せられたという。
その後、ELIOS 3が取得した点群データをもとに、専用ソフトウェア「Inspector」による解析もその場で実施。撮影された映像の位置や角度を3Dマップ上で簡単に確認できるほか、映像の任意の停止位置における距離計測も可能で、記録映像を見返しながら再解析できる点も“使えるデータ”としての活用性の高さが示された。
また、質疑応答では多くの質問が寄せられ、ドローン点検への関心と期待の高さがうかがえた。

今後への期待
大阪府富田林市 産業部下水道課 課長の淺尾覚氏は、次のようにコメントしている。
淺尾氏:ドローンで撮影された映像が、非常に綺麗で、操作も簡単でした。点検箇所を3Dマップ上で確認できる点も魅力的です。今後、自動飛行や、異常箇所の自動検出などが出来ると良いなと思います。長時間飛行のニーズに応える、大容量タイプのバッテリも登場しており、さらなる発展を楽しみにしています。

屋内点検用球体ドローン「ELIOS 3」について

ELIOS 3は、 Flyability社が開発した非GNSS環境下の屋内空間などの飛行特性に優れた屋内用ドローンELIOSシリーズの最新機種である。世界初の3Dマッピング用LiDARセンサーを搭載。点検・施設情報をリアルタイムで3Dデータ化し、位置特定が可能。
また、最新のSLAM技術により操作性・安定性も大幅に向上し、操縦者の負担軽減と飛行時間の短縮を実現している。ブルーイノベーションは2018年に日本おける独占販売契約を Flyability社と締結し、ELIOS シリーズを活用した点検ソリューションの提供を開始した。
2024年現在、我が国ではプラントや発電所、下水道などを中心に300カ所を超える現場での導入実績がある。
