空飛ぶタクシーの開発を手掛けるJoby Aviation, Inc.(以下、Joby)は、カリフォルニア州マリーナおよびオハイオ州デイトンにおける製造拠点の拡張を発表した。これにより、マリーナ施設では航空機の年間生産能力が最大24機に倍増し、同時に同社の保有機体数も新たな1機の追加により増加した。
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マリーナ施設は総面積43万5,500平方フィートに拡張され、FAAの生産認証取得に向けた試験機の製造、操縦士訓練用シミュレーター、保守設備も整備されている。Jobyは本施設において数百人規模のフルタイム雇用を新たに創出する計画である。
オハイオ州デイトンにおける施設も全面改修され、現在は部品製造と試験を進めている。将来的には年間最大500機の量産体制構築を視野に入れており、FAAの生産認証取得に必要な能力も備える。
垂直統合とToyotaとの連携で生産効率を最大化
Jobyは航空機の設計・製造から操縦士訓練、運用までを一貫して自社で行う垂直統合モデルを採用しており、これが迅速な開発と高い品質、効率的なテスト・認証取得を可能にしている。また、ハイブリッド水素電動推進システムの開発など、多用途への展開にも柔軟に対応可能である。
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Toyotaとの緊密な協力関係もJobyの生産体制強化に寄与している。Toyotaのエンジニアは設計・製造・品質管理にわたりJobyのチームに深く関与しており、生産プロセスの最適化、組立工程の効率化、カスタム工具の開発支援などに取り組んでいる。
アメリカ主導の革新で地域経済にも貢献
Jobyはすべての設計・試験・製造を米国内で実施しており、カリフォルニアおよびオハイオに集結した人材と先端技術を活用して製品開発を加速している。先進的なデータ解析や3Dプリント技術により、軽量かつ高耐久な部品を製造している。
マリーナの新施設建設には、地元労働力や地域団体、州政府などからの支援も大きな役割を果たした。カリフォルニア州知事経済開発局(GO-Biz)からの980万ドルの助成金や、州財務局による設備コスト1,000万ドル削減の支援もあり、Jobyの成長と空のモビリティの未来に向けた基盤が一層強化された。
今後の展望と市場投入に向けて
Jobyは、垂直離着陸が可能な全電動エアタクシーの商用運行を視野に入れ、市場投入に向けた準備を着実に進めている。今後は、より多くの製造設備の稼働と認証取得を通じて生産体制を強化し、都市型エアモビリティ市場をリードする構えである。
同社の創業者兼CEOであるジョーベン・ビバート氏は、7月16日にデトロイトで開催される「Reindustrialize Summit」に登壇し、米国製造業再興に向けたJobyの取り組みを紹介する予定である。