Hyundai Motor Company(以下、Hyundai)は、山火事で甚大な被害を受けた韓国・蔚珍(ウルジン)地域における森林再生支援の一環として、新たに「IONIQ 9シードボールドローンステーション」の開発を完了した。この車両は、2023年に導入された「IONIQ 5モニタリングドローンステーション」に続く森林再生プロジェクトの中核を成す。
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同車両は、現代のフラッグシップEV「IONIQ 9」をベースとし、ドローンの発着台をトランクに内蔵。さらに「V2L(Vehicle-to-Load)」技術により、ドローン運用に必要な電力を自車から直接供給できる設計である。走行時の騒音・振動が少なく、排ガスゼロで森林環境への負荷を最小限に抑える仕様となっている。
高性能ドローンで人が入れない場所へ種を空中散布
車両に搭載された大型ドローンは、土・有機物・種子を混ぜて成形された「シードボール(種子玉)」を空中から散布することで、人間が立ち入り困難な山岳地帯への効率的な植林作業を実現する。これにより、広範囲かつ迅速な森林再生が可能となる。
また、IONIQ 9の広いリアキャビンには、スイベルシート、デュアルモニター、専用のドローン操作用PCが搭載され、現場での高精度な運用管理が行えるモバイルオフィスとしての機能を備える。これにより、ドローン制御とデータ処理をリアルタイムで一体化し、作業の正確性と効率性を飛躍的に向上させている。
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IONIQシリーズによるスマート森林再生プログラムが本格化

今回のIONIQ 9ドローンステーションの追加により、Hyundaiは既存の「IONIQ 5モニタリングドローンステーション」とあわせて、「スマート森林再生プログラム」をさらに加速させる。蔚珍をはじめとする東海岸地域の被災地での再生作業を体系的かつ継続的に進める方針である。
本プロジェクトは、2016年に始動した現代自動車のグローバルCSR活動「IONIQフォレスト」の一環であり、地域住民や顧客と共に環境課題の解決に取り組む。現在までに米国、ブラジル、ベトナム、インド、チェコなど13カ国へ拡大しており、今後は本ドローンステーションを各国のプロジェクトに展開する計画である。
官民連携による森林回復支援を推進
Hyundaiは、2024年6月に韓国山林庁傘下の「韓国樹木園・庭園研究院」および植樹に特化した社会的ベンチャー企業「ツリープラネット」と5年間の業務提携を締結。IONIQ 5によるドローン監視を通じて、東海岸地域の被災地におけるデータ収集と再生支援活動を共同で展開してきた。
IONIQ 9シードボールドローンステーションの開発には、森林再生技術に特化したスタートアップ「Guru E&T」との共同設計が行われた。同車両は、植林・モニタリング・再生の3機能を統合し、将来の災害対応型モビリティの標準となる可能性を秘めている。