本訓練は大規模震災により天草地域への陸路が寸断されたという想定で実施され、海・空からの大規模な支援が計画される中、ドローンの偵察飛行によって被災状況をリアルタイムに対策本部へ伝えるとともに、自衛隊が揚陸する救援物資を孤立離島へドローンでリレー輸送した。
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また本訓練には、民間ドローンチームとして訓練計画時より県災害対策本部に参画の上、大型ドローンの性能および運航体制を活かした役割を提案し、「ドローンによる被災状況確認」→「自衛隊等の初動対応策定・実施」→「ドローンによるラストワンマイル輸送」をシームレスに実現するオペレーションを実証した。
今後も、官民連携の下、ドローンを活用した地域防災力の強化に貢献するとしている。
本訓練におけるドローンの役割
「平成28年熊本地震」や「令和6年能登半島地震」などの震災においては、海岸からの救援アクセス確保や道路啓開に資する被災状況の全体把握、陸路が寸断され孤立地域へのラストワンマイル輸送を強化する必要性など、初動対応における課題認識があった。
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また、長距離飛行と重量物輸送を可能とする大型ドローンについては、平常時から遠隔操縦を含めた運航体制の確立(フェーズフリー)が必要であり、計画外の緊急出動は困難であることなど、依然、防災対策におけるドローンの効果的な活用・役割には課題があるという。
こうした課題認識の基、本訓練においては、発災直後においても、民間の大型ドローンが広範な偵察飛行を担うこととし、対策本部はリアルタイムに被災状況を把握の上、初動対応の策定に繋げることにした。
天草諸島沿岸部(全周約200km)を低空より空撮し、接岸が可能な沿岸部を見極めた上で海上自衛隊の揚陸計画が策定されることなどを想定している。
なお、救援物資は、「海上自衛隊→陸上自衛隊→民間ドローン」とリレー輸送後、大型ドローンが孤立離島へのラストワンマイル輸送も担った。
本訓練におけるドローンの運航体制
JALが総合調整の上、AIDがドローン機材ならびに遠隔操縦者を提供、JDRONEとヤマハ発動機は運航補助を担う体制を構築した。
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2023年11月、奄美瀬戸内町とJALにより共同設立したドローン運航会社AIDは、現在、大型ドローン ヤマハ発動機製「FAZER R G2」(以下、FAZER R G2)を主力機に、平時には生活物資を定期輸送するとともに、災害時には状況偵察や救援物資輸送も担う「フェーズフリー」なドローン事業を展開している。
JALと奄美瀬戸内町、共同でドローン運航会社「奄美アイランドドローン」を設立。Matrice30とFAZER R G2を運航
本訓練の遠隔操縦基地局は非被災地とすべく、東京(=AID定期運航の基地局)に設定している。
JDRONEは、FAZER R G2を活用した福島第一原子力発電所事故に関する放射性物質モニタリングをはじめ、危機管理・災害分野におけるソリューション事業を通じた経験・知見を活かし、本訓練においては現地における運航補助を実施した。
ヤマハ発動機は、無人航空機の製造メーカーとして培った技術情報、これまでの長距離飛行の運航活動などで得られた経験・知見を活かし、本訓練においては運航計画の事前確認、現地における運航補助を実施した。
- ドローン運航: 奄美アイランドドローン
- 使用機材: ヤマハ発動機製 FAZER R G2
- 運航形態:目視外遠隔操縦 レベル3.5運航, LTE・衛星通信併用, 遠隔操縦基地局 東京都品川(JAL本社内)
被災状況の偵察飛行
(2024年12月18日 : 上天草市、天草市、苓北町)
孤立離島への救援物資ラストワンマイル輸送
(2024年12月19日 : 上天草市)
- 海上自衛隊エアクッション艇により揚陸された救援物資はドローン出発地(樋合漁港)へ陸送
- 陸上自衛隊より物資を受け取り、ドローンへ搭載、孤立想定の樋島(ひのしま)へラストワンマイル輸送