本実証では、「Skydio X10」の機能である夜間自律飛行とサーマルカメラによる温度検知により、困難な環境下での人物探索が可能であることを検証した。
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また、低軌道衛星を利用した衛星ブロードバンドインターネットサービス「Starlink Business」を活用することで電波の不感地帯においても遠隔地への映像伝送が可能となり、リアルタイムでの迅速かつ安全な状況把握を実現した。
背景
災害時などの人命救助において、「72時間の壁」と言われるように一般的に被災後3日を過ぎると生存率が著しく低下するとされており、初動で迅速に救助者を発見・救助することが非常に重要だ。
特に山岳遭難では装備が不十分なまま入山しているケースが多く、夜間は気温が低下し生存率が低下するリスクが高まる。また、捜索依頼が夕暮れ間際に行われた場合、人による捜索は二次遭難のリスクが高まるため、夜間には捜索が行えないことも多々ある。
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これらの課題に対し、ドローンを活用することで、より安全で迅速な捜索活動の効果検証を夜間および昼間に行った。
米国ではドローンによる人物探索はDFR(Drone as First Responder)と呼ばれ活用が広がっている。本実証は日本で「Skydio X10」を用いた初めてのDFRユースケースだという。
NTT Comでは日本で初めてかつ唯一、Skydioが認定するDFR Program Mangerが在籍しており、お客さまのドローンを活用したDFRプログラムの構築をサポートしている。
※2024年12月4日時点
本実証の概要
「Skydio X10」による夜間自律飛行
「Skydio X10」は夜間の自律飛行に対応しており、日没後であっても安全に人物探索を継続できることが確認できた。さらに従来のドローンでは困難であった場所にも進入し、安全に状況を確認できることが証明された。
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サーマルカメラとスポットライトを用いた温度検知と人物確認
サーマルカメラにより対象物の温度などを検知することで、夜間の視界が悪い環境や樹木などの障害物がある環境でも効率的に人物の確認が可能となり、人命救助における迅速な対応ができることを確認した。
また、スポットライトを用いることで上空90m付近からでも地上の人物を確認することができ、サーマルカメラでとらえられない対象物も認識できることを確認した。
なお「Skydio X10」でスポットライトを用いた夜間実証は日本初だという。
「Starlink Business」による映像伝送
「Starlink Business」を活用することで電波不感地帯からでも映像伝送が可能となり、遠隔地のオペレーターがリアルタイムで映像を受信し現場の状況を把握することが可能となった。これにより、安全性と迅速性が大幅に向上した。
「Skydio X10」が認識した位置情報をもとにした捜索(昼間)
「Skydio X10」が飛行中に探索対象者の緯度経度情報を記録し、その情報をもとに職員が遭難者を探索することでおよそ15万平米(東京ドーム3個分)の範囲の森林にいる探索対象者3名のもとに約40分程度で到達することができた。
今回の実証では自動・手動飛行を組み合わせて捜索と緯度経度情報の記録を行い、その情報をもとに約21分で1人目の捜索対象者のもとに職員が到達できた。「Skydio X10」がリアルタイムに認識した緯度経度情報と現地での緯度経度座標のずれは、数m程度で、効率的な捜索が行えることが確認できた。
今後の展開
本実証の結果をもとにさらなる効果検証を進め、自律飛行型ドローン「Skydio X10」などを活用した夜間人物探索の導入を目指すという。また、同様の課題を抱える自治体や災害対策機関への展開検討を進めるとしている。