本実証の第一回目では、手作業では2時間ほどかかる傾斜20度以上・2,000平方メートルの畑への農薬散布が、自動航行ドローンを活用することにより約93%減の8分間で終了し、「スマート農業」の有用性を確認した。
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実証実験の終了後は、日本の農業課題のさらなる解決に向け、AI時代の新たなビジネスプラットフォーム「新規ウィンドウが開きますWAKONX (ワコンクロス)」を通じたサービス提供を目指すとしている。
本実証は、生産者の高齢化が進む「西浦みかん」の産地で、農作業の負担を軽減させる「スマート農業」の効果を検証するものです。「スマート農業」はICTやロボット技術、ドローンなどの先端技術を活用し、作業の効率化や品質向上を実現する新たな農業だ。
2024年5月29日、「農政の憲法」と呼ばれる「食料・農業・農村基本法」に「スマート農業」の促進に関する条文が盛り込まれるなど、日本の農業課題の解決に資する方法として注目を集めている。その一方、農家にとっては、収穫品質への影響が不透明であることが導入の懸念として残っている。
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本実証は、2027年3月31日まで期間を設け、年7回の農薬散布をドローンで実施する。また、農薬散布を手作業で行うエリアとドローンで行うエリアに分けることで、農家の懸念である「スマート農業」の収穫品質への効果を継続的・定量的に分析するという。
背景
沼津市を代表する農産物の1つである「西浦みかん」は、品質と味のよさから価格も上昇、出荷量も安定しており、市場からもさらなる増産が期待されている。一方で、農業従事者の高齢化と後継者不足により沼津市をはじめ多くの農家では労働力の不足が必至とされており、近い将来の担い手不足は深刻な状況だ。さらに、西浦みかん園地は、傾斜が20度以上の急斜面が57%を占めており作業が重労働となっている。
このような課題の解決に向けて、「スマート農業」に期待が集まっており、五者は関係機関と連携し、本実証実験に至ったという。
本実証について
実証概要
- 本実証ではJAふじ伊豆が沼津市の助成を受け購入した、KDDIスマートドローンが提供する最新型農業用ドローンを活用。
- 物理的な基準局を必要とせずcm単位の測位精度を可能にする新規ウィンドウが開きますKDDIの高精度位置測位サービスをドローンと連携。傾斜地や散布対象が点在する果樹に対して、通常のGPSより正確な自動航行や効果的な自動散布が可能。
- 事前に測量と飛行ルートを設定し、ドローン1台で農薬を自動散布。
第一回目の実験結果
- 作業者は散布時の立会いのみでよく、作業負荷が大きく軽減。
- 手作業で2時間程度要していた傾斜地での農薬散布を、自動航行が可能なドローンを使用することにより8分間で完了。
- 手作業による散布時と遜色なく薬液が葉と果実に付着していたことを目視で確認。
- 2024年7月の散布において、水滴が付着すると変色する感水紙などを用いて薬液付着量のさらなる定量分析を実施予定。
実証実験の開始日・終了日
開始日: 2024年5月22日
終了日: 2027年3月31日
実証場所
JAふじ伊豆なんすん地区本部 西浦みかん営農経済センター管内柑橘園
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使用機体
DJI社製「AGRAS T25」
各社の役割
組織 | 役割 |
---|---|
JAふじ伊豆 | 防除暦の作成、ドローン防除に適した樹形剪定作業、試験区の測量・農薬散布、運用検討 |
KDDI | 高精度位置測位サービスの提供、作業受託システムのスキーム検討サポート |
KDDI スマートドローン | ドローンの調達、オペレーター育成、散布飛行サポート |
JA全農 | 実証試験の企画協力、関係機関調整 |
JA静岡経済連 | 実証実験の企画および設計 |
各社の狙い
- JAふじ伊豆: 産地規模の維持および拡大に向け、担い手経営体の規模拡大・法人化のために喫緊の課題となっている防除作業の省力化を図る。防除効果の実証により、実証実験後は作業受託システムのスキーム構築を目指す。
- KDDI: KDDIは2024年5月から、お客さまの事業成長・社会課題解決へ貢献するため、AI時代の新たなビジネスプラットフォーム「新規ウィンドウが開きますWAKONX (ワコンクロス)」を始動。実証実験終了後、サービス展開中の上空利用モバイル通信サービスやドローン運用管制システムも活用し、「WAKONX」を通じた農業の課題解決を目指す。
関係機関
静岡県、沼津市
今後の展開
実証実験で得られた知見を活用し、JAふじ伊豆を窓口とした作業受託システムのスキームを検討している。ドローンによる防除作業の効率化により、日本の農業が抱える農家の高齢化や人手不足などの社会課題解決に貢献することを目指すとしている。
今後も、KDDIは「WAKONX」を通じて、日本のデジタル化のスピードアップを推進していく。