これにより建設現場における進捗管理業務の大幅な省力化が期待されるとしている。
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背景
建設業界では、工事の各段階において施工状況や過程を撮影し工事の進捗管理に活用しているが、近年この業務をドローンで代替することで現場の生産性向上をめざす取り組みが進んでいる。しかし、いろいろな課題から、現場の負担を減らしきれていないという現状があるという。
建設現場でのドローン利用に関する課題
- これまで多くの建設現場で活用されてきたドローンはGPSに基づいて位置把握を行いながら飛行するため、GPSが取得しづらい橋梁下などは自動飛行が困難
- 自動飛行ができない部分は人が操作をして飛行する必要があり、手動での操作には高いスキルが求められる
- ドローンとクラウドサービスが連携されていないため、作業員がドローンから撮影データを回収し管理者に確認依頼する必要がある
- 自動巡回の技術や運用体制が構築段階のため、屋外の建設現場においてドローンの活用は他作業が行われていない時間帯に実施するなど早朝、休憩時間など限られた時間に作業員立ち合いのもと行われている
本実証の概要・結果
こうした課題を解決し、ドローン活用による現場の生産性向上を推進するため、静岡県の高速道路の建設現場で遠隔監視による「カテゴリーⅡ」での飛行場所を特定した補助者なし目視外飛行(BVLOS)を行い、成功した。
具体的には、NTT Comが屋外の建設現場において早期にドローンの遠隔操作による巡回ソリューションとして提供開始できるよう、実運用を見据え、技術的な実証および法令を遵守した運用上の実証の両面を実施した。これにより、ドローンを活用した屋外建設現場での進捗管理業務をより効率化できる可能性が確認できた。
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技術的な実証
- 屋外用ドローンポート「Skydio Dock for X2」を国内で初めて活用し屋外におけるドローンの自動離着陸および自動給電を実施
- 補助者なし目視外飛行を実現するための手段の一つとして運用面の安全対策に加えてインターネットを介しての遠隔監視を実施
- GPSとVision、2つの制御技術を使い分け、橋梁下などGPSが届かない部分についてはVisionをベースとして自動飛行・撮影
- 撮影した映像や画像をクラウドサービス経由でリアルタイムに遠隔地にて確認
- 時刻を指定したスケジュール飛行を実施
Visionとは、Skydioの機体の上下に6個付いた魚眼レンズ(ナビゲーションカメラ)で取得した情報をもとに位置推定を行う制御技術。周囲の環境から自己位置を推定するためGPSなどが取得しづらい環境でも安全に飛行が可能
法令を遵守した運用上の実証
- 2022年12月の改正航空法に則った飛行日誌への記載および飛行記録の管理
(記録の正確性はクラウドに保管されたログ情報を活用することで担保) - ドローンの運用に必要な確認・遵守事項について現場作業員・管理者と一緒に確認
- NTT Comが飛行場所を特定した1年間の「無人航空機の飛行に係る承認」を取得
今後の展開
これまで屋内におけるドローンポートを活用した遠隔監視下での自動巡回の技術検証が進んできたが、本実証により屋外の建設現場における進捗管理などの用途でGPS情報の有無などに依存することなく遠隔監視下での自動巡回の可能性が確認できた。
今後は取得したデータの解析まで含めたソリューションとしての提供開始に向け準備を進めていくという。
また、「docomo skyセルラードローンパートナープログラム」に加入しているSkydio, Inc.と共同でセルラードローンの実現に向けた取り組みを進めるとともに、モバイルネットワークを活用し安全、安心なドローンの社会実装をめざすとしている。
NTT Comは、幕張メッセにて2023年6月26日から6月28日に開催される「Japan drone2023」に出展し、本実証に関する展示する。