また、約20社が参加した「東日本遊園地協会技術研究会」においてドローン点検実施報告および今後の展開を紹介した。
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高所かつ危険な箇所や、仮設足場を設置した際にのみ点検できる箇所、法定点検時にしか確認できない箇所などを、複数のドローンを活用し、4Kおよび高画質動画で点検を実施。点検動画も容易に確認できるよう360°ビューワーを活用し、ビューワー上のアイコンをクリックするだけで動画を確認できる顧客に寄り添った新たな形式とした。
ドローン点検実施までの経緯
浜名湖パルパル、かんざんじロープウェイでは、ジェットコースターの裏側や避雷針、設備足場の下部など、新たに安全な点検手法として、ドローンの活用を検討していたという。椿本興業よりドローン点検ソリューションの提案を受け本格検討することになった。椿本興業は協業するスカイブリッジによるプラントでのドローン点検、そしてドローン測量を活用した3次元化技術を紹介し、採用に至った。
スカイブリッジは、ドローンメーカー、ソフトウェア開発会社ではないため、ドローンの機種機体、ソフトウェアに縛られることがない。今回のジェットコースター、ロープウェイに対して、最適なドローンを用途別に選定し、浜名湖パルパル、かんざんじロープウェイが要望する点検手法を臨機応変かつ確実に実施した。
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現状点検での課題
遊園地では、設備に足場がある際でも高所ゆえに、避雷針やコースターの裏側など点検が困難な箇所が存在する。これまでは、数年に1回の塗装工事で仮設足場を組んだ際に重点的に点検を実施していたという。
交走式ロープウェイでは、支索(ワイヤロープ)が循環しないため、現状の点検は、搬器(ゴンドラ)の上部に登り、ワイヤロープを構成する縒られたロープ一本一本を目視での点検が必要となる。この場合、わずかではあるが死角が発生する。特に、かんざんじロープウェイは、日本で唯一湖上(浜名湖)を渡るロープウェイであり、下から目視確認することも容易ではない。
一つの解決策として、これらの日常点検を可能としたのが、スカイブリッジと椿本興業のドローン点検手法であった。
ドローン点検方法
遊園地では、設備内部にドローンが深く入り込み撮影する必要があった。そのため、Skydio社のドローンを採用。点検箇所へ1m以内まで近づき、実際の浜名湖パルパル担当者に操縦者の撮影映像をリアルタイムで確認してもらい、ドローンが担当者の目となり、点検を実施した。
ロープウェイでは、ドローンと湖上の支索、通信索を十分な距離(離隔)を保ち、DJI社のドローン(Matrice 300 RTK)で複数方向から数十~数百倍のズーム撮影をした。スカイブリッジが得意とする測量技術を応用し、自動航行ルートを作成し、点検を実施。ドローンでの撮影映像をかんざんじロープウェイ担当者がリアルタイムに確認した。
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遊園地業界への展開
浜名湖パルパルが加盟する「東日本遊園地協会」の技術研究会にて、ドローン点検映像・手法の公開、さらにドローンのデモ飛行を実施した。
今後は、各種点検箇所において、
- ドローン自動飛行ソリューションの適用拡大
- 赤外線映像、AI画像解析を活用したひび、亀裂の検出
- 測量技術を応用した各設備の3次元化
などの検討を進め、遊園地業界の技術発展を支え、安全に寄与するとしている。
納品形式
動画と360°ビューワーを納品。数十の動画データの確認は対象の動画を探すところから業務負担となる。以下の画像のように、360°ビューワーへアイコンを設置することで、動画確認を容易とし、管理者の業務削減を実現する他、定期的な点検動画や、図面などのあらゆる情報を一元管理するプラットフォームとして提供が可能。
浜名湖パルパルの施設管理支配人である津口氏は、次のようにコメントしている。
津口氏:ちょうど社内にて、安全文客文脈でのドローン点検についてを調査していた。これ以上ないタイミングで椿本興業からの提案を頂いた。弊社内では、安全に対する取り組み意識が高いことに加え、椿本興業とスカイブリッジとの事前打合せで実際のドローン点検イメージができたこともあり、採用に至った。
実際、ドローンが撮影した点検映像はとても鮮明で、細部まで確認ができた。現場でも、スカイブリッジ社と密にコミュニケーションを取り、臨機応変な対応ができたことも良かった。点検後に振り返り、打ち合せを実施し、明確になった課題やチャレンジすべき事項にも1つ1つ取り組み、今後に活かしていく。
また後日開催された東日本遊園地協会技術研究会でも、ドローン点検に関する質問は非常に多かった。ドローンを活用することへの注目は高く、今後業界全体でドローンの活用が進んでいくと予想する。