Red Cat Holdings傘下の産業用ドローン企業Skypersonicは、通常の携帯電話のインターネット接続のみで、約7,700km離れたフロリダ州オーランドから制御するドローンによってイタリア・トリノのIren地域暖房ネットワーク工場(電力工場)の内部を視覚的に点検した。
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オーランドを拠点とするパイロット、Drew Camden氏(Red Cat Holdingsの子会社Rotor Riotの社長)は、今回Skypersonic開発のドローンフラッグシップモデル「Skycopter」ドローンで点検した。このドローンは、GPSを使わずに操縦ができる。GPSは従来のドローンを屋外で操縦するための基本システムだが、橋の下やトンネルなどの閉鎖空間では利用できない。
同氏は、トリノのIren地域暖房ネットワーク工場について、実際に訪れたことがなく、平面図や階段、煙突、ダクト、電線管、根太などのレイアウト図面や写真も見たことがなかったが、大西洋の向こうからSkycopterを誘導して通り抜けた。Skypersonicの信号遅延を最小限に抑える技術により、受信遅延は68ミリ秒、つまり1/10秒以下で、ほぼリアルタイムに建物内部を見て反応できたという。
SkypersonicのCEOであるGiuseppe Santangelo氏は次のようにコメントしている。
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Santangelo氏:海の向こうから制御されたこの歴史的な飛行から、私たちは多くのことを学びました。実は、大西洋横断飛行は3回目なのです。最も重要なことは、ドローンの近くにある携帯電話からインターネットに接続するだけで、ほぼどこからでも、実際には約3,000km離れた場所からでもドローンを遠隔操作できることを学んだことにあります。
これまでの2回のフライトでは、携帯電話以外の高度なインターネット接続を利用していました。また、この簡単に設定可能なセットアップを使用して、別の大陸から非常に密で複雑な内部環境を航行することが可能であることを学びました。
Iren社の工場におけるこのデモンストレーションは、トリノ大学の協力のもと、トリノ新技術センターが推進。Irenは、電力、ガス、地域暖房用熱エネルギー、エネルギー効率、水・環境・技術サービスを統合的に管理するイタリア北西部を代表する複数のインフラサービスを提供する企業だ。
Santangelo氏は、高度でありながら使い勝手がよく、携帯性に優れたこの遠隔操縦技術の可能性は、非常に大きいと指摘する。
Santangelo氏:私たちはすでに、General Motorsとの2年間の点検プログラムを通じ、現場のパイロットが操縦するドローンを使って産業施設を点検することで、足場を組み、人員を空中に吊り上げる従来の方法よりも時間とコストを大幅に削減できること、そしてもちろん、計り知れないほど安全であることを実証していました。
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ドローンを使用する際に最もコストがかかるパイロットが、オフィスを離れることなく、世界中のあらゆる建物の点検を行うことができれば、こうした時間とコストの削減効果は飛躍的に大きくなります。旅費は完全になくなり、移動がないため、パイロットの拘束時間は数日から数時間に減少します。パイロットは同じ場所にいながら、何千マイルも離れた場所で運用するドローンで同じ日に複数の点検を実施できることになるのです。
Santangelo氏は、Skypersonicの遠隔操縦技術の発明のきっかけは、Covid-19のパンデミックによる渡航制限であったと語る。
Santangelo氏:Covid-19流行以前は、お客様のもとにパイロットを派遣し、「Skycopter」を使った室内点検のトレーニングを行うのが通常の手順でした。そこで、ソフトウェアエンジニアに、インターネット経由でドローンを遠隔操縦できる方法を開発するよう依頼しました。
これが完成すると、お客様はデトロイトやトリノのオフィスにある同様のドローンを遠隔操縦することで、新しいドローンが届く前に操縦の練習を始められるようになったのです。お客様に必要なのは、インターネットに接続された無線コントローラーと、当社の遠隔操縦ソフトウェアだけです。お客様がドローンを受け取ったら、デトロイトまたはトリノにいる当社のパイロットが、何千マイルも離れたところからドローンの操縦を引き継ぎ、その操縦方法を教えられるのです。
Covid-19が課した必然性は、新しい世界を生み出し、私たちのビジネスモデルを根本的に変えました。実際、「Remotely Flying Drones Anywhere™(リモートでドローンをどこにでも飛ばせる)」は、Skypersonicが属するRed Cat Holdingsの企業部門の中核的な事業戦略になっています。