株式会社大林組と国立大学法人東京大学大学院工学系研究科は、福島ロボットテストフィールドにて、自律4足歩行ロボットとドローンを使用したトンネル断面3次元計測の実証実験を行った。国土交通省「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」の一環での取組みだという。
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自律4足歩行ロボット「Spot(Boston Dynamics社)」は、15cm以下の凸凹した箇所や車輪の跡、ぬかるみや砕石上を問題なく移動できる。レーザー光を照射、魚眼カメラで撮影するだけで計測できる「光切断法を用いた山岳トンネル断面計測システム」を搭載することで、連続的かつ効率的に複数断面の計測を可能としている。
ドローンは、測量業務で幅広く使われ、カメラや計測機器などアタッチメントの改良が比較的容易な「Matrice 300 RTK(DJI社)」を採用したという。
実証実験結果
複数断面の3次元計測
地上を自律歩行する「Spot」と空中を飛行するドローンに計測装置を搭載し、レーザースイッチの切り替えを高速で繰り返し動画撮影することで、複数断面を連続的に計測できたという。ロボットを活用することにより、計測に要する時間は従来の約30分の1に短縮できたとしている。
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自律歩行による計測
「Spot」は、ARマーカーを認識できる複数のカメラを内蔵している。ARマーカーを認識させ、移動経路を設定することで、自律歩行できるという。任意の時刻に、トンネルや地下通路を自動で動画撮影しながら断面の計測ができるため、竣工検査時の初期点検や定期的な日常点検などにも有効としている。
複雑な場所・形状の3次元計測
ドローンを使用することで、ダムの利水放流トンネルや橋梁下面などの高所での計測が可能。「Spot」は、背中の角度や高さを調整できるため、さまざまな角度でレーザーを照射できるとしている。トンネルの掘削作業時は、建設機械・車両の往来によりぬかるみや轍が発生することがあるが、同機を利用することで不安定な箇所での計測も可能とした。
今後は、複数断面の計測結果を統合する手法の確立を図りつつ、地下躯体や橋梁下面での適用など、山岳トンネル以外へも適用していくという。国土交通省が進める、調査・測量から維持管理・更新までの建設生産プロセス全体の生産性向上を図る「i-Construction」の推進に貢献するとしている。