奄美大島・瀬戸内町企業誘致第一号の株式会社TARGET DXは、離島の輸送手段の課題解決として、同町最南端の有人島・与路島(人口76名)の与路港と与路島沖の無人島・ハミヤ島や、岩場越えが必要で陸路での往来が困難なアデツ海岸においてドローンによる物資輸送の実証実験を実施し、輸送に成功した。
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TARGET DXは、2018年10月に瀬戸内町と地域活性化包括連携協定を締結し、ITによる地域活性化を目指して瀬戸内町と創業支援・シェアオフィスの「せとうちITBASE」を開設し、2020年2月に本店登記場所を「せとうちITBASE」内に移転した。
2019年度にIT関連での地域活性化施策である農林水産省の農山漁村交付金(地域活性化対策)スマート定住強化型モデル事業の施策対象地区として全国13カ所に選抜され(採択団体はTARGET DXが中核団体をつとめる瀬戸内農泊推進協議会)、現地の課題やニーズ調査等を行いながら、株式会社ドローンロジスティクス&ソリューションズを100%子会社化し離島でのドローン輸送の事業化に向けての実証実験を実施した。
物流用ドローンによる輸送については、安全性や確実性を段階的に検証していく必要があり、今回の実証実験では、与路港~ハミヤ島/与路港~アデツ海岸での小型ドローンによる飲料水や動物用医薬品等の搬送実験を成功するとともに、海上の風の影響を受けての実証実験で様々な課題も把握することができた。
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現在、奄美南部離島である加計呂麻島、請島、与路島の有人島3島の主な物流手段は、町営の「フェリーかけろま」(1日往復7便)と「せとなみ」(1日片道各1~2便)や海上タクシーとなっており、奄美本島の古仁屋港周辺から離島への物流にドローンが加わることで便利さは増し生活の質向上が見込めることから、最終的には古仁屋港周辺から生活物資、医薬品等を与路島など離島の港または自宅周辺に輸送できることを目指しているという。
また、TARGET DXでは、離島の交通手段の改善にも取り組んでおり、瀬戸内町農泊推進協議会、与路島観光協会との連携で、2021年1月27日~2月9日の間、加計呂麻島(伊子茂港)~与路島(与路港)間での、海上タクシーのライドシェアの実証実験を行っているが、2021年3月上旬には、奄美大島空港~瀬戸内町間のタクシー等の陸上交通機関のライドシェアの実証実験を予定している。
瀬戸内町農泊推進協議会との連携事業・農水省・農山漁村交付金(地域活性化対策)スマート定住強化型モデル事業においては、海上タクシー、タクシー等のライドシェア等のMaaS事業の他、ドローンを活用した輸送サービスにより、離島への物資運搬の問題の解決を図るべく、ドローン輸送事業の展開を予定している。短距離、軽量の運搬の実証実験からスタートし、将来的には輸送コストを下げ、農業高付加価値化や医療・福祉環境の改善を目指していくとしている。
■ドローン輸送の実証実験について
ルート①与路港~ハミヤ島(直線距離1.8km)のコーヒーのデリバリー
ルート②与路港~アデツ海岸(直線距離0.5km)の動物用医薬品等のデリバリー/飲料水等のデリバリー
■2月20日実証実験状況
ルート①与路港~ハミヤ島(直線距離1.8km)
- 輸送物:コーヒー(2ケ)/重量約400g
- 実証実験シーン:海上タクシー上からドローンを操作し、無人島・ハミヤ島までコーヒーを輸送。実験当日は波が高く、ハミヤ島での受け取りは行わず、上空まで飛行
ルート②与路港~アデツ海岸(直線距離0.5km)
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- 輸送物:動物用医薬品・療養食(重量約250g)/飲料水(重量約320g)/ジュース(重量約200g)
- 実証実験シーン:与路港の埠頭からドローンを操作し、アデツ海岸の目標地点の上空約3メートルから輸送物を投下。輸送物を吊り下げていると風の抵抗が大きく、高度3メートル以下になると機体が安定しなくなるため、3メートルからの投下を実施。ペットボトルや固形物は問題なく投下され、受け取れた
※実証実験に際しては、専用の船による海上落下の際の落下物引き取りを準備して実施
■今後の展開(予定)
- 次期ステップ:古仁屋港~加計呂麻島瀬相港(経由)(直線距離6.8km)
加計呂麻島瀬相港~与路島(直線距離11.4km) - 最終ステップ:法整備と機体価格の状況を鑑みて古仁屋港~与路島・ハミヤ島を実現(直線距離:18km)