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紀伊半島の山々では、鹿による深刻な食害被害が続出し、植林しても育たないという悪循環に陥っている。この被害から森を守るため、防獣対策資材の設置が必要だが、支柱や網など重量物の人力輸送は困難を極め、特に急斜面での作業は危険度が高く、多くの時間と多額のコストを強いられていた。
この難題に挑むべく、ドローン事業者と林業事業者のそれぞれの立場からの知恵を結集し、ドローンを活用した「新しい林業」の構築を目指し、奈良県五條市の山間部で実証実験を実施した。その結果、輸送時間、機体の安定性、発着陸の安全性など、貴重なデータを収集することに成功した。
今回の実験で使用されたのは、DJI社の最新鋭物流ドローン「DJI FlyCart 30」。このドローンを用いて、急勾配の山林で実験期間中に300回を超える大規模な荷上げ作業が行われた。この規模は「全国的に他に類を見ない」という、まさに「新しい林業」にふさわしい取り組みとなったという。
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現場からは「荷物を背負う場合に比べ、格段に楽になる」という声が寄せられ、林業従事者の負担軽減や働き方改革、労働環境改善への期待が高まっている。
この取り組みは、バイオマスパワーテクノロジーズ株式会社が計画・実施するNEDOの支援事業「紀伊半島エリア各地でのセンダン・ヤナギ類・ナラ類・カシ類等の育苗~植林~搬出実証」事業の一環として実施された。
今後は、バイオマスパワーテクノロジーズ株式会社が中心となり、この実験で得られたデータを詳細に分析し、新たな手法や技術開発に活かし、低調な林業の再生に挑戦していくという。
ドローンは安全性の向上、コスト削減、働き方改革など、さまざまな可能性をもたらすとしている。