Photo: Flyability
- Advertisement -
想像してみていただきたい。一度落ちたらおそらく出られないであろう氷河のクレバスの中。深くて、暗くて、寒くてあたりはとがって硬い氷ばかりがあり、誰も入りたくない。そんな中に落ちてしまったらたとえ見つけてもらうことができても救助は期待できないであろう。
しかしドローンであれば、クレバスの中に入って行っても問題ないだろう。
昨年開催されたCommercial UAV EXPOでのFlyability「Gimball」デモ
- Advertisement -
昨年、スイス・ローザンヌにあるドローン会社Flyabilityが自社の製品「Gimball(ギンバルでなくギンボール!)」を用いたサービスをスイスアルプスの山岳救助隊Zermatt Glacierに提供をすることを決定した。Gimballは、宇宙ごまのように三軸ギンバルの中にドローン本体があると思ってもらえば良いだろう。ギンバルの中にドローンがある仕組みで、障害物がある場所や狭い室内でも飛行可能になる。工場や危険な狭小場所の点検等に有効活用できる。まさに逆転の発想である。このために用いられるドローンはHDカメラと強い光を発するライトを搭載し、暗い氷の割れ目の中もはっきりと映像に移すことができる。
危険な場所でも破損しないよう、保護ケージをつけて飛ばすドローンはいくつかあるが、Gimballは少し特殊だ。外側のケージのみが回転する様になっている。そのため、硬いもの、氷の塊などにぶつかってもケースが回転することで衝撃を吸収する。ドローン本体は影響を受けないので、安定したまま映像を撮影できる。以下の写真がまさに氷河の壁にぶつかっている瞬間だ。しかし、その衝撃はドローンを直撃することはない。
Flyability社はこれまで監視用にドローンを開発していたが、上記の映像からも今後捜索、救助の用途、特にクレバスの様な人や他のロボットが入るには危険すぎる場所で活躍の可能性が多いに伺える。ドローンの中でも特にこのGimballは、どんなに危険な場所でどんなにおぼつかない操縦でも無事に帰って来ることができる。
非常に便利で、安全で、人命救助にも役立つドローンだが、問題があるとすればその値段だ。35,000USDもするドローン(現在はプロトタイプでβテスターとして、 25,000USDで先行販売中。協力すれば製品版が出荷後交換してくれると言う)だが、今後ほかの場所でも普及して社会で役立つ日が近いことを願う。