もはやコンシューマー機の完成形と思われたMavic Air 2がなんと1年でバージョンアップ!DJIの他シリーズ同様名称変更で「Mavic」が消えたものの、コンパクトなボディはそのままにカメラに高画質な1インチセンサーを搭載、4Kを超えた5.4Kの高解像度撮影にも対応しました。今回は「DJI Air 2S Worry-Free Fly Moreコンボ」をいち早く手に入れましたので、開封レビューを行っていきたいと思います。
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コンシューマー機の決定版がさらに撮影が楽しい機体にバージョンアップ
機体は重量がわずかに重くなりましたがサイズはほぼ変更なし。飛行時間も3分ほど短くなったものの(カメラセンサー大型化のせい?)、それでもMavic 2と同じ31分の飛行時間があれば1本のバッテリーでたくさんのカットを撮影することができます。
何より大きな変更はカメラのバージョンアップです。少し画角が広くなったレンズ&1インチセンサーを搭載、5.4K/30pまで撮影が可能になりました。広大な絶景を撮影するのが楽しくなりそうです。また、映像こだわり派にはうれしいLog(ログ)撮影(色補正前提の高画質収録)にも対応、通常のDlog-Mに加えてHLG(通常のLog撮影よりも汎用性の高い高画質収録)での収録ができます。
ただ、そこまでこだわっておきながらカメラに絞り機能(F値変更機能)がないのはちょっと残念なところ(もっとライトなユーザーを想定しているのでしょう)。絞りはこれまで同様F2.8の固定となっており、映像こだわり派には光量の取り込みを制限するNDフィルターが必須ですね。
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個人的に嬉しかったのは、飛行速度が若干ですが上がっていること。Airシリーズは動きがもっさりとしているのが少し不満だったのですが、Air 2Sならそのストレスも軽減されそう。動きのある被写体も余裕を持って撮影できるはずです。そして人気の高輝度モニター一体型送信機「DJIスマート送信機」にも対応しているのも便利ですね。
ちなみに、Air 2Sの外見上特徴的な前方上面に追加された障害物検知センサー、電波干渉に強い「O3」、バージョンアップした高度操縦支援システム「APAS 4.0(エーパス)」などにより操縦安全性も旧型機よりも向上しています。
機体
DJI Air 2S | Mavic Air 2(旧型) | |
重量 | 595g | 570g |
サイズ | 折りたたんだ状態: 180×97×77mm(長さ×幅×高さ) 展開時: 183×253×77mm(長さ×幅×高さ) |
折りたたんだ状態: 180×97×74mm(長さ×幅×高さ) 展開時: 183×253×77mm(長さ×幅×高さ) |
最大飛行時間 | 31分(無風) | 34分(無風) |
最大上昇速度 | 6m/s(Sモード) 6m/s(Nモード) ※Mavic 2 5m/s(Sモード) 4m/s(Pモード) |
4 m/s(Sモード) 4 m/s(Nモード) |
最大下降速度 | 6m/s(Sモード) 6m/s(Nモード) ※Mavic 2 3m/s(Sモード) 3m/s(Pモード) |
3m/s(Sモード) 3m/s(Nモード) 5m/s(SモードやNモードで急降下中) |
最大水平飛行速度 | 19m/s(Sモード) 15m/s(Nモード) 5m/s(Cモード) |
19m/s(Sモード) 12m/s(Nモード) 5m/s(Tモード) |
カメラ
DJI Air 2S | Mavic Air 2(旧型) | |
センサー | 1インチCMOS | 1/2インチCMOS |
有効画素数 | 20MP | 12MP(擬似的に48MP) |
レンズ | FOV:88° 35mm判換算:22mm 絞り:F2.8固定 |
FOV:84° 35mm判換算:24mm 絞り:F2.8固定 |
静止画サイズ | 20MP:5472×3648px | 12MP:4000×3000px 48MP:8000×6000px |
動画解像度 | 5.4K:5472×3078 24/25/30p 4K:3840×2160 24/25/30/48/50/60p 2.7K:2688×1512 24/25/30/48/50/60p FHD:1920×1080 24/25/30/48/50/60/120p |
4K:3840×2160 24/25/30/48/60p 2.7K:2688×1512 24/25/30/48/50/50p FHD:1920×1080 24/25/30/48/50/60/120/240p |
動画フォーマット | H264/H265 | H264/H265 |
ビデオカラープロファイル | ノーマル(8ビット) Dlog-M(10ビット) HLG(10ビット) |
ノーマル D-Cinelike |
ズーム | 4K/30fps:4倍、2.7K/60fps:4倍、2.7K/30fps:6倍 1080p/60fps:6倍、1080p/30fps:8倍 |
動画伝送
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DJI Air 2S | Mavic Air 2(旧型) | |
最大伝送距離 | 8km | 6km |
その他 | O3(OcuSync 3.0) | OcuSync 2.0 |
障害物検知センサー
DJI Air 2S | Mavic Air 2(旧型) | |
障害物検知 | 上+前+後+底面 | 前+後+底面 |
動作アプリ
DJI Air 2S | Mavic Air 2(旧型) | |
フライトアプリ | DJI FLY | DJI FLY |
どんどん洗練されていくパッケージを開封の儀
では、DJI Air 2S Worry-Free Fly Moreコンボを開封してみます。「Fly Moreコンボ」は必要な予備パーツやオプションパーツがセットになりつつ価格的にはお得なセット。特に今回は機体の破損に対して1年間で最大2回の製品交換などのサービスを提供する「DJI Care Refresh」サービスも付いた至れり尽くせりの内容になっています。
箱を開けるとショルダーバッグにコンパクトに収納されたAir 2S一式とアクセサリーが入ったひとつの小さなBOXのみというシンプルな構成。アクセサリーが入ったBOXを開けてみると、可愛らしくクッキーのようなパッケージングがされたプロペラが…!
今までのパッケージはいかにもな「つや消しホワイトの半透明ビニール袋」が糊どめされているだけ(わかる人にはわかるはず!NDフィルターはその「半透明ビニール袋」でした)だったのですが、パッケージひとつとってもオシャレになっています!もちろん、オシャレなだけでなく、プロペラの装着位置(A/Bの違い)がプリントされているのが初心者に優しい心遣いです。
同梱物
- 機体
- 送信機
- インテリジェントフライトバッテリー×3
- バッテリー充電器
- AC電源ケーブル
- 低ノイズプロペラ(1組)×6
- ジンバルプロテクター
- Type-Cケーブル
- RCケーブル(USB Type-C)
- RCケーブル(Lightningコネクター)
- RCケーブル(Micro-USBコネクター)
- 予備操作スティック
- NDフィルターセット(ND4/8/16/32)
- バッテリー充電ハブ
- バッテリーパワーバンクアダプター
- ショルダーバック
※DJI Care Refreshも付属(オンライン手続き)
バージョンアップした機体前面デザイン
DJI Air 2Sのデザインをチェックしていきます。やはり目立つのは前面の上方についた障害物センサーと変更されたカメラ。プロペラのカラーも変更されています(形は同一)。
上方に設置された障害物センサーは機体上方の障害物検知はもちろんのこと、飛行時に機体が前傾姿勢になった際には前方の障害物検知にも役立ちます。飛行原理上、機体は前傾になることで前進するので、障害物検知センサーが真正面にあるとスピードを上げたり強い向かい風に当たると機体が大きく前傾(最大35°傾く)し、斜め下を中心に検知している(センサーの垂直画角が広いのでもちろん正面も検知する)状態になってしまいます。そう考えると、Air 2Sの斜め上を向いた障害物検知センサーの角度はとても大切な角度ですね。
そして誇らしげに「1-INCH 20MP」と刻印されたカメラ。旧Air2ではブラックでしたがシルバーに変更されました。カメラ前面のガート部分をひねると外すことができ、同じ場所にNDフィルターをかぶせることができます。
機体下面にはポジショニングカメラと赤外線センサーを各2つとLEDランプ1つを搭載。ポジショニングカメラの画像解析と赤外線センサーの検知機能によって低空時の機体位置や下面障害物(地面等)までの距離を測り機体を安定飛行させます。
LEDランプは低空時に周辺の光量が少ない(暗い)ときに下面を照らします。ポジショニングカメラは画像解析技術を使っているため、光量が少なくカメラに周辺環境が映らないと正常に機能しません。LEDランプが地面を照らすことにより、このポジショニングカメラの弱点のひとつが克服され低空時の飛行安定性と安全性を確保することができます。筆者は、夜間飛行時にあえてLEDランプを照らして機体位置を把握する際にも利用しています。地味な機能ですが、暗所でとても便利です。※夜間の飛行は航空法で禁止されており、国土交通省へ飛行許可承認申請が必要
旧Air2同様、後方にも障害物検知センサーがあります。実は便利なのは前方よりも後方の障害物検知センサーだったりします。前方はカメラからの映像で障害物を把握しやすいのですが、少し油断したり飛行環境の把握が不十分だったりすると機体をバックさせたときに障害物に接近してしまうことがあります。そのようなとき、後方に障害物検知センサーがあると自動で停止してくれますので最後の保険になります。
ただ、カメラセンサーを使っている特性上、光量の少ない環境や画像で検知しにくい障害物(面積の少ないもの、電線や枯れ木の枝など)には反応しない場合もありますのでバックで移動させる際には安全に十分に注意してください(クルマのブレーキアシスト機能だと思って過信しないことがポイントです)。
初心者から映像こだわり派まで楽しめる万能ドローン
ハードウェア面はよくこの小さなボディにこれだけ詰め込んだな…というレベルの高機能。それに加えて今回は試せていませんが、高度インテリジェント撮影機能「マスターショット(被写体を選択すると10種類の飛行動作を順番に実行しながら撮影、自動編集する機能)」や周辺空間を認識し障害物を避けながら飛行するAPAS 4.0などソフトウェア面もさらに充実し、初心者にもこの高機能を楽しめるインターフェイスを備えています。
初めてドローンを購入する1機としても、撮影の幅や利便性を広げるツールとしても使える万能な機体に仕上がったと言えるのではないでしょうか。
次回は実際に屋外でフライトした感触や映像についてレビューしたいと思います。