ドイツ航空宇宙センター(DLR)は、開発中の太陽光駆動型高高度無人航空機「HAP-alpha」の地上振動試験(GVT)を成功裏に完了した。
この試験は、ドイツ・コッヒシュテットにあるDLRの国家実験テストセンターにて実施されたもので、機体の飛行適性を評価する上で重要なマイルストーンとなる。GVTでは、飛行中や離着陸時に発生し得る危険な振動挙動を特定することが目的とされ、飛行の安全性と空中性能の確認につながる。
「HAP-alpha」は、全幅27メートル、総重量138キログラムという極めて軽量かつ高弾性な構造を持つソーラープレーンであり、DLRのブラウンシュヴァイク拠点で製造された。2026年には高度20kmの成層圏での低高度飛行試験が計画されており、将来的には地球観測、通信支援、災害対応、インフラ監視など幅広い分野での活用が見込まれる。

高高度プラットフォームの技術革新に向けた前進
DLR航空研究担当取締役のマルクス・フィッシャー氏は、次のように強調した。
HAP-alphaは、設計から開発・運用までを一貫して担うDLRの総合的なシステム技術力を体現している。ドイツの技術・産業基盤の強化だけでなく、公共機関との連携や知見の共有を通じて、新たな展望を切り拓く。
DLR空力弾性研究所のユリアン・ジンスケ氏も、次のように語った。
今回の試験成功は、複雑な空力弾性課題を克服し、プラットフォームの飛行実現に向けた大きな一歩だ。
試験では、電動振動装置を使って振動を与え、センサーで機体の動的特性を詳細に記録。得られたデータは、飛行時の挙動予測精度をさらに高めるため、シミュレーションモデルの更新に活用される。

センサー技術の実証プラットフォームとしての役割
HAP-alphaは、単なる飛行機体ではなく、DLRが開発を進める高性能センサーシステムの実証プラットフォームでもある。現在開発中の搭載機器には、高解像度空中カメラシステム「MACS-HAP」および合成開口レーダー「HAPSAR」が含まれる。
これらの技術を活用することで、HAP-alphaは長期的な地球観測、環境監視、通信インフラ構築など、持続可能かつ信頼性の高い高高度運用技術の実用化を後押しする。
DLRは今後、残る地上試験とシステム統合試験を経て、2026年の試験飛行を実現する構えだ。HAP-alphaは、次世代の航空機開発における環境適応型ソリューションの象徴として、ドイツおよび国際社会の科学技術発展に寄与する。