Flyhoundのソリューションは、NEC欧州研究所が開発した技術「SARDO」を使用したもので、ドローンによって行方不明者や災害被災者の携帯端末からのセルラー信号を三角測量して位置を特定し、捜索エリアのデジタル地図上でリアルタイムに表示することで、一刻を争う行方不明者の捜索にかかる時間を短縮する。これによって、行方不明者の位置を30分以内に半径50メートルの精度で特定することができ、早期救助の実現に貢献するとしている。
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Flyhound設立の経緯
NEC Xの新事業創出プログラムでは、ビジネスとテクノロジーに精通した客員起業家(以下:EIR)に技術や研究者を紹介し、EIRは各々のビジネスアイデアを提案する。Flyhoundは、NEC欧州研究所が開発した技術と事業仮説がNEC Xに持ち込まれ、EIRを探索するところから始まった。
EIRが決まり、NEC Xのプログラムが始まると同時に、Flyhoundのチームは公的機関を含む様々な組織にアプローチして顧客インタビューを実施。ニーズを明確にしたのち、プロダクト開発に取り組み、複数の公的機関とともに実証実験を行った結果、有効性が評価され、事業化に至ったという。Flyhoundは、NEC Xが2018年の設立以来、本プログラムを通じて立ち上げた9件目の新事業。
NEC Xの戦略的パートナー、Alchemist AcceleratorのPresident and Managing DirectorであるRachel Chalmers氏は、次のようにコメントしている。
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Chalmers氏:この貴重なNECの技術を公共安全のための商業的に実現可能なソリューションに発展させるために、FlyhoundのチームをNEC Xおよび弊社のプログラムで支援できたことは光栄でした。Flyhoundの立上げにより、世界はより安全な場所となり、Flyhoundの空は無限に広がっています。
Flyhoundのソリューションについて
Flyhoundのソリューションは、アクティブな携帯電話ネットワークの信号を必要としないため、携帯電話ネットワークインフラが利用できない遠隔地や災害地域での使用に最適だとしている。赤外線カメラを搭載した既存の捜索救助用ドローンとは異なり、樹木や葉、建物などで視界が遮られた場合でも位置を特定することができるため、地震や洪水による瓦礫が散在するような環境下でも被災者や行方不明者の居場所を予測することが可能だという。
実証実験を行った米国ニュージャージー州カールスタット消防署、レスキュー・消防隊員であるCorey Hoefling氏は、次のようにコメントしている。
Hoefling氏:携帯電話は誰もが常に持ち歩いているもの。救助する立場からすると、緊急時に携帯電話の位置を地図上で確認できるのは非常に貴重なことです。Flyhoundのソリューションは、緊急時に誰かを探す必要がある場合、その人をより早く見つけることができるため、人命救助にとても効果的です。
今後の展開
Flyhoundは、NEC Xの事業創出プログラム卒業に先立ち、2022年9月にはAlchemist Acceleratorのプログラム、11月にはカナダの大手電気通信事業者TELUSが提供するTELUS Community Safety&Wellness Acceleratorプログラムを卒業。今回のNEC Xからの卒業をもって、資金調達および事業成長に向けた活動を本格化していく。
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本件に関する各社のコメント
NEC X, President and CEO 井原成人氏
パブリックセーフティや災害対応においては、短時間に大量のリソースを投入することが求められます。最小限の時間と費用で人命救助をサポートするFlyhoundのソリューションへのニーズは、常に高い状況です。Flyhoundが私たちのプログラムを卒業・スピンアウトし、今後大きな成功を収めることを期待しています。
Flyhound, Co-Founder and CEO Manny Cerniglia氏
私たちは、人命救助という重要な任務で公的機関を支援し、行方不明者を迅速に見つけることを使命としています。今回、NEC Xのプログラムに参画し、NEC研究者とともにNECの技術を実装したソリューションを立上げ、短時間で行方不明者の位置を特定し救助につなげることができるようになったことを誇りに思っています。