富士通株式会社と中国電力ネットワーク株式会社は、再生可能エネルギーの導入拡大および送電設備の保全業務高度化におけるドローンの活用に向けた実証試験を実施した。
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実証試験概要
中国電力ネットワークの変電所にOPGW(光ファイバー複合架空地線)振動測定用の装置や計算用コンピューターなど機器一式を設置。ミリ秒単位の振動データを長さ70キロメートルに渡り、数メートル間隔で取得する。取得したデータを富士通独自の変換技術を通して、環境や送電線温度を推定。ドローンの運航支援やダイナミックレーティングに活用するための検証を実施した。
飛行可否の判断材料とするデータ変換技術の検証
OPGWの振動データを変換して取得した環境データと現地に設置した風速計の実測データの比較をしたところ、概ね一致していることが確認できた。起伏によって風況が複雑に変化する山間部でも、正確かつ効率的にデータを取得でき、ドローンの飛行可否の判断や風況を考慮したルートの選定に適用可能。ドローンによる巡視点検時の安全性向上と保全業務高度化を図る。
送電容量拡大に向けたダイナミックレーティングへの適用検証
環境データと鉄塔に設置したセンサーで実測した日射量および外気温、送電線に流れる電流値をパラメーターとして、温度データに変換し、送電線の温度を推定。赤外線サーモグラフィカメラを設置し、温度を実測したところ、概ね一致していることが確認できた。設備の送電容量を弾力的に運用するダイナミックレーティングに適用可能。送電線近傍の環境データを全域に渡ってリアルタイムで把握でき、送電容量を弾力的に運用することで、容量増加が見込めるため、再生可能エネルギーの導入拡大に寄与する。
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業務実装に向けたプロトタイプシステムの作成と運用検証
環境データや送電線の温度など各種の推定データを、送電設備に合わせて、地図上に可視化する送電網高度運用支援のプロトタイプシステムを作成。広範囲に渡るデータの把握や実運用を見据えた操作感、利便性について検証を実施した。可視化されたデータに基づいたダイナミックレーティングの実施や、ドローン飛行の可否判断による業務の高度化が図れる。
両社は今後、送電網高度運用支援システムの早期構築に向けた開発を進め、デジタルトランスフォーメーション(DX)を進展し、保全業務の改革やエネルギー供給等の社会課題解決を目指すという。