新物流専用ドローンAirTruck
- Advertisement -
株式会社ACSLと株式会社エアロネクストは、ペイロード5kgのスペックを持ち、Level 3(無人地帯における目視外飛行)による物流実証実験を重ねて改良してきた、新物流専用ドローン「AirTruck」の受注を開始する。物流専用ドローンの量産は日本初。
2022年3月22日に開催される自治体向けイベント「デジタル田園都市国家構想を実現する 新スマート物流シンポジウム」にて初公開する予定。
2020年8月に締結した4D GRAVITYライセンス契約に基づき、物流に特化した4D GRAVITY搭載の用途特化型ドローンの開発を共同で進めており、2021年3月には最新試作機を発表していた。
- Advertisement -
両社は、物流専用ドローンであるAirTruckが、現在の物流の主流であるトラックと組み合わせることで物流業界が抱える人手不足を解消し、過疎や高齢化が進む地域においても、サービスや品物の受け取り手である人が好きなものを好きな時に手に入れられる社会を実現していく、ラストワンマイル配送の一翼を担うことを目指すとしている。
開発背景
全国的な人口の減少や少子高齢化、過疎化の影響により、流通機能や交通網の弱体化とともに買物環境が悪化し、食料品等の日常の買物が困難な状況に置かれる買物弱者が増加している。宅配業者等により家まで届けるという方法があるが、物流業界における人手不足も顕在化しているのが現状だ。そのようなラストワンマイル配送の課題を解決するため、政府や自治体においてはドローンをはじめとしたデジタルやテクノロジーを活用する取り組みが積極的に進められている。
ACSLは2022年1月28日に中期経営方針「ACSL Accelerate FY22」を公表し、航空法改正に伴う有人地帯上空における目視外飛行(Level 4)の緩和や免許制度などの整備が進む中で、「持続可能なグローバル・メーカーへ」変遷すべく、Level4に対応した物流機体を含めた4つの用途特化型機体の量産化と社会実装事業を戦略の1つとして推進している。
エアロネクストは、これまで独自の機体構造設計技術4D GRAVITYをコアに様々な産業用ドローンの研究開発を重ねてきており、その中でも物流領域には特に力を入れ、専用機体の開発に取り組んでいるという。
さらに、ドローン配送サービスを主事業とする戦略子会社を設立。山梨県小菅村を皮切りに、北海道上士幌町、福井県敦賀市等において、地域物流の効率化、活性化を実現すべく、陸上配送とドローン配送をつなぎこんだ新スマート物流の構築に向けて実施した実証実験にてACSLと共同開発した物流専用ドローンの試作機の技術検証を進め、性能面や運用面を改善してきたという。
- Advertisement -
Level 4に対応した物流機体の開発のためには、安定性・効率性・機動性を向上させた機体を開発し、Level 3環境で実証実験を重ね改良していくことが不可欠だとしている。
AirTruckは、ドローンの基本性能を向上させるエアロネクストの機体構造設計技術4D GRAVITYを搭載することで、飛行速度・飛行距離・配送可能重量・配送品質のレベルアップを実現。そして、これまでに山梨県小菅村、北海道上士幌町などにおける計466回の実証実験と、計1,730kmの距離を飛行した実績がこの度の新機体開発の成功に結び付いたという。
そして両社は、これまでの実証実験から、AirTruckがラストワンマイル配送における物流業界の課題を解決し、その地域に住む人にとって必要不可欠な存在になるとして、量産化に至ったとしている。
製品名について
物流専用車両であるトラックです。AirTruckは、空という無限の可能性が広がる空間における新たな物流を構築する専用ドローンとして、現在の物流を支えている物流専用車両であるトラックと調和していくことを願い、名付けたという。
機体の特徴
(以下、プレスリリースより引用)
- 4D GRAVITY®による重心制御技術で、荷物の揺れを抑えつつ安定した飛行を実現
- 空力シミュレーションや風洞実験を通した空力最適化で、高い飛行性能を実現
- LTE通信やFPVカメラなどを搭載し、Level 3(無人地帯における目視外飛行)を遠隔操縦で実施可能
- ACSLの従来機体(ACSL-PF2)と比べ、ペイロードが3kg弱から5kgへと拡大
- 上から簡単に荷物を搭載する方式など、利用者が分かりやすく扱えるUX設計
機体概要
- 製品名:AirTruck(エアートラック)
- 全長:展開1.7m×1.5m、収納時1.0m×1.5m
- 高さ:0.44m
- 機体重量:10kg
- 最大離陸重量:25kg
- ペイロード:5kg
- 最大飛行速度:10m/s
- 最大飛行時間:約50分
- 最大飛行距離:20km
- 最大上昇・下降速度:上昇3m/s、下降2.5m/s
- ホバリング精度:水平方向±2.0m/s、垂直方向±1.5m/s
- 最大通信距離:LTE電波圏内において制限なし