1,300万球のLEDイルミネーションを空撮しアレンジ
2017年2月17日深夜、オランダの街並みを再現したテーマパーク「ハウステンボス(長崎県佐世保市)」で世界最大級のLEDイルミネーションを素材とした空撮コンテストが開催された。
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空撮コンテストは、一般社団法人日本ドローンレース協会(JDRA)、ハウステンボス株式会社 主催「ジャパン・ドローン・チャンピオンシップinハウステンボス」にて開催。運営は株式会社ドローンエモーションが担当した。17日の閉園後に15名の選手が3箇所のイルミネーションを各15分ずつ撮影、18日中に編集して提出、19日午前に審査発表というリアルタイムコンテストだ。
ライトアップされたパレスエリアの庭園
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ハウステンボスのイルミネーションは1,300万球のLEDを散りばめた世界最大の規模を誇るとともに、ディズニーランドの1.5倍という広い敷地にはオランダの街並みも再現されており、見どころが多い。コンテストでは美しい庭園がライトアップされた「パレスエリア」、高さ66mの“光の滝”が美しい「アートガーデン」、風車とチューリップが並ぶ「フラワーロード」の3箇所が撮影ポイントとして選ばれた。
高さ66mの光の滝がある「アートガーデン」
撮影はひとりひとり交代しながら制限時間15分の中で行った。筆者もアートガーデンの空域管理者として立ち会っていたが、15名それぞれが飛ばし方や注目する撮影ポイントが異なっていておもしろい。中にはヒヤッとするフライトをする選手もいたが、各撮影ポイントの空域管理者で注意、ブレーキ役をすることで安全に運航を管理していった。
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空域管理者が隣に付きながら空撮を実施する
深夜22:45からスタートしたコンテスト撮影が終わったのは午前3:30。気温も5℃前後まで下がる中、各々がベストを尽くした。機体はDJI製品を無改造で使うことがルールとして定められ、比較的大型なINSPIRE1から小型のMAVIC PROまでさまざま。一番多かったのは100Mbpsの4K映像が撮影できるPhantom4 RPOだった。選手の中には女性も2名参加しており、男性人口が圧倒的に多いドローン空撮業界の中で、彼女たちが制作する作品は非常に楽しみだ。
DJI INSPIRE1のフライト準備
創意工夫が見られた空撮映像のあれこれ
審査発表会は、タレントの遊佐氏とドローンエモーションのパイロット大前創希氏のMCにより、ニコニコ生放送の中継として進められた。
© niconico
その中で、最優秀賞を受賞したのは引野潤さんの作品「夜遊び」。受賞した引野さんは下記のように語った。
引野氏:空撮歴は1年くらい。普段こんな経験できないのでありがたい経験をさせていただいた。皆さんの前で作品を公開するのも緊張する。飛ばしているときはテーマを決めて飛ばしていたのですが、だんだん15分という時間を考えると焦ってきてしまって、結局微妙かな?と思った映像も多かったんですけど、編集してみたらパッパパッパ作れちゃって、最終的には良かったと思います。
© niconico
また、イノベーション賞には女性パイロットの佐々木桃子さんが受賞。女性パイロットならではの感覚で制作された作品が評価された。最後に運営委員長の富田直美氏は、次のように語った。
富田氏:みなさんのテクニックが素晴らしいのはもちろんのこと、しかしながらドローンの技術はスゴイな、と思いました。もはやプロとプロでない方の境界って何かわからない。今回は評価の軸が5つあった。でも、評価しているときはほとんど意味はない。最終的には、我々が見て感動するか、しないか。1分間の中にどれだけのメッセージを込められるか。これはプロかどうかは関係ないです。人として何を表現したいか。そういう表現を自然にできる道具を手にした、そんなことを思いました。
今回の空撮コンテストは、同じ時間に同じ条件で同じテーマを表現するという非常に制限の多い企画であったものの、そのことが逆にパイロットの「言い訳」をさせない環境を作ることになった。今回のコンテストに参加したパイロットは、非常に多くのことを学んだことに違いない。この企画はコンテストとしての面白さもさることながら、パイロットの教育という面でも新たな可能性を示したものとなったことは間違いない。
審査結果
■イノベーション賞
佐々木桃子さん「ドローン女子イルミネーション」
提供:ハウステンボス JDRA
■空撮技術賞
スーパーアイドルさん「良い感じにしました」
提供:ハウステンボス JDRA
■エンターテイメント賞
矢尾板亨さん「真夜中のハウステンボス」
提供:ハウステンボス JDRA
■グッドイルミネーション賞
増田孝さん「ナイトバード」
提供:ハウステンボス JDRA
■最優秀賞
引野潤さん「夜遊び」
提供:ハウステンボス JDRA