この時代に「地雷」と聞くと私たちには無縁のもので、戦争が起こっていない国であれば全く心配する必要のないものかと感じる人もいるかもしれない。モザンビーク独立戦争後、戦争が終わったにも関わらずこの国では約17万強もの地雷が埋められた状態で、それを撤去するのに22年もかかった。
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Human Rights Watch(以下:HRW)によると、1994年、モザンビークでの地雷による死者は1万から1万5千人にものぼったと言われている。その国で完全に地雷が撤去されたと宣言されたのは、2015年のことだ。ボスニアでは「Pokémon GO」のリリースに伴い地雷原には近づかないようプレイヤーに注意喚起がされた。この様なことが起きているなか、あるプロジェクトがクラウドファンディングで立ち上がっている。
「Mine Kafon」と名付けられた地雷除去のために用いられるドローンの開発において、目標を70,000ユーロとしているうち、現在3,000人以上から合計120,858ユーロが集まっている。Mine Kafonは、当初アートプロジェクトとして立ち上がった。その後、世界で問題となっているにも関わらず、世間からの関心の薄い「地雷」という問題に目を付け、そのためのツールとしての開発がはじまった。
Hassani Design BV社の設立者でありMine Kafonの発案者であるMassoud Hassani氏はアフガニスタンで育ち、現在もなお残っている地雷の危険性を自らの身をもって実感していた。Hassani氏は家族と40回以上、様々な場所を転々とし最終的にオランダのデザイン・アカデミー・アイントホーフェンにて工業デザインを学んだ。
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アフガニスタンで以前子供の頃に自身でつくった風力で動くおもちゃに発想を受け、2011年の卒業制作で風力発電の地雷探知機Mine Kafonを制作した。彼のこの卒業制作は大きな注目を浴び、2012年頃にはメディアでも大きく取り上げられた。それをきっかけにHassani氏は家族と一緒に地雷除去のためのプロジェクトの開発を更に進めていくための資金集めに、キックスターターキャンペーンを立ち上げた。
オランダの防衛相のサポートを受けプロトタイプとフィールドテストを行ったうえで、Hassani Design BVのチームは現在、Mine Kafonを安全かつ効率的に地雷を発見し除去する機械として最適化するための改良を試みている。現段階でHassani BV社のロボット事業の実績は、現存する他の地雷除去技術よりも安全で早く、そして安価である。彼らは世界の企業や団体と共に、一刻も早く効率的に世界の地雷除去に取り組みたいと目標を掲げている。Hassani氏は次のようにコメントしている。
Hassani氏:Mine Kafonはただ地雷除去のためにつくられるのではなく、これをきっかけにグローバルに地雷問題に目を向けてもらいたい。