第一次世界大戦期に生まれた無人機は、偵察機として発達し、武装化を経て、いまや戦況を左右する存在となった。同じ技術は一方で、物流・インフラ点検・農業など産業の現場を支え、夜空に数百〜数千機の光の絵を描くエンターテインメントへと広がっている。
同書は、この100年の技術史を一本の線でたどり直すとともに、日本でドローンをリードする6人へのロングインタビューを通じて、2026年現在の産業のリアルを描き出す。
同書の特徴は以下の通り。
1.世界に挑む6人のパイオニアへのロングインタビュー
- 村井宏行氏(株式会社アルタースカイ)
物流とエンタメを結ぶ「ドローン二刀流」の現状と未来展望。 - 徳重徹氏(テラドローン株式会社)
日本の防衛ドローンを担い、視座高く世界基準のビジネスを展開。 - 佐部浩太郎氏(エアロセンス株式会社)
ソニー発。「社会インフラの守護神」を目指す公共ドローンの最前線。 - 松留貴文氏(スパイシードローンキッチン)
ドローンと一体になる、その快感の正体(FPV)。 - 佐々木孔明氏(株式会社レッドクリフ)
エンタメ特化型ドローンで世界の空をショーアップ。 - 本郷武延氏(株式会社アスター)※
国産ドローン・モーターの技術革新と事業戦略。
※株式会社アスター本郷武延氏のインタビューでは、同社独自の「アスターコイル」が米国の防衛スタートアップ、アンドゥリル・インダストリーズ創業者パルマー・ラッキー氏の目に留まった経緯と、その後の協業についても語られている。
2.100年の技術史を一本の線でたどる
ドローンを扱う書籍の多くは、軍事、操縦入門、産業利用など、特定の領域に絞って書かれてきた。同書はそれらを横断し、ドローンの過去・現在・未来を一冊でたどる。
第一次世界大戦末期の「ケタリング・バグ」から、冷戦期の偵察機、1990年代のプレデター、ウクライナの戦場で使われるシャヘドまで、約100年にわたる無人機の歴史を紹介。さらに、『ミッション:インポッシブル3』『アイ・イン・ザ・スカイ』など、映画に描かれてきたドローンにも注目する。
無人機がどこで生まれ、どう軍事に取り込まれ、いかに民生へと広がっていったのか。断片的に語られがちなドローンの歴史を、ひとつの通史として整理した。
3.利便性の裏側まで踏み込む
ドローンを実際に飛ばすために必要な国家資格や機体登録、飛行ルール、装備などを解説。物流・インフラ点検・農業といった産業利用から、数千機規模のドローンショーや、観客が参加する「ドローンカラオケ」まで、多彩な活用事例を取り上げる。
その一方で、無人化が進む現代の戦争や日本の防衛ドローンの現状にも目を向ける。最終章では、AI・ドローン・ロボットという「21世紀の三種の神器」が生み出す「新世界エコシステム」の光と影を考察。物流や点検の自動化など大きな恩恵をもたらす一方、同じ技術が監視社会の基盤となる可能性もある。
技術の恩恵を受けながら、人間が主権を手放さないために何が必要なのか。同書はドローンがもたらす利便性だけでなく、その先にある課題まで問いかける。
目次構成
- 1章 ドローンの歴史を紐解く
- 2章 映画・ドラマに観るドローンの在り方
- 3章 物流とエンタメ、「ドローン二刀流」の現状と未来展望(村井宏行インタビュー)
- 4章 戦場のドローン 戦略、戦術の在り方の変化と進化
- 5章 視座高く、世界基準のビジネスを(徳重徹インタビュー)
- 6章 ドローン飛行入門
- 7章 「社会インフラの守護神」を目指して(佐部浩太郎インタビュー)
- 8章 ドローンと一体になる、その快感の正体とは(松留貴文インタビュー)
- 9章 日本におけるドローンの多様化、多角的活用:2026年の最前線
- 10章 ドローンの飛行原理とその表現の可能性
- 11章 エンタメ特化型ドローンで世界の空をショーアップするレッドクリフ(佐々木孔明インタビュー)
- 12章 無人化がデファクトスタンダード化する戦争
- 13章 アスターの技術革新と事業戦略の展望(本郷武延インタビュー)
- 14章 AI・ドローン・ロボットの共振が生む「新世界エコシステム」の光と影
著者プロフィール
黒川文雄(くろかわ・ふみお)
ジャーナリスト/ゲーム考古学者/メディアコンテンツ研究家/黒川塾主宰
株式会社ジェミニエンタテインメント 代表取締役
1960年、東京都生まれ。
武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業。株式会社アポロン音楽工業、株式会社ギャガ・コミュニケーションズ(現在のGAGA)を経て、株式会社セガ・エンタープライゼス(現在のセガ)、株式会社デジキューブを経て、自身の会社である株式会社デックスエンタテインメント創業(5年後売却)、ブシロード、コナミデジタルエンタテインメント、NHN Japan(現在のLINEヤフー、NHN PlayArt)にてゲームビジネスに携わる。
現在は株式会社ジェミニエンタテインメント代表取締役と、黒川メディアコンテンツ研究所・所長を務め、メディアコンテンツ研究家として、エンタテインメント関連企業を中心にコンサルティング業務を行う。エンタテインメント系勉強会の黒川塾は2012年の開催から14周年を迎える。取材活動も精力的に行い、エンタテインメント系コラム連載、4Gamer、東洋経済、Yahooニュースなどで取材記事を執筆する。
映像プロデュース作品に「ANA747 FOREVER」「ATARI GAMEOVER」他、大手パブリッシャーとの協業ゲームコンテンツなども数多く手がけ現在に至る。
書籍は2019年に「プロゲーマー、業界のしくみからお金の話まで eスポーツのすべてがわかる本」、2023年に「ビデオゲームの語り部たち 日本のゲーム産業を支えたクリエイターの創造と挑戦」を出版。2025年に「セガ 体感ゲームの時代 1985-1990」、11月に「ぼくらがAIBOをつくった:ソニー・ロボティクスの挑戦」を出版。近著は2026年9月2日に「続編のないゲーム——クリエイターたちの美学、消えたプロジェクトの真相」を出版。