同社の最新デザインである「サイバー化」が施され、空中でジャンプや宙返りを可能にするコールドガススラスタが搭載された。
ライブ配信では圧巻のスタントが披露されたものの、詳細はほとんど明かされなかった。イベント終了後にテスラはX上でさらなる情報を公開したが、価格や生産開始時期は公表されていない。
9年の歳月を経て
テスラが次世代ロードスターのプロトタイプを初めて公開したのは2017年11月のことで、2020年の生産開始を約束していた。しかしその期日は延期を重ね、何度も見送られてきた。
今年だけでも、イーロン・マスク氏は4月の公開を約束し、次いで4月下旬、さらに第1四半期決算から「1カ月ほど後」へと先送りした。デモはその後8月に延期され、さらに10月1日へと延期された。そして2026年10月15日の夜(太平洋標準時)、テスラはようやくイベントをライブ配信した。
導入部全体は、予想される合併を前に、イーロン・マスク氏らがテスラとSpaceXを結びつける理由を作ろうとしているかのように感じられた。テスラによるSolarCity買収を前に行われたソーラータイルの発表イベントを彷彿とさせるものだった。
S3XYからCyberへ
テスラは、2017年のプロトタイプからデザインが大幅に変更されたことを認めた。そのデザイン言語は、S3XYラインナップからCybertruck、Cybercab、Optimusへと進化を遂げ、新型ロードスターはSR-71やF-35から着想を得ているという。

更新されたロードスターのページで、テスラは格納式ヘッドライト、車幅いっぱいのテールライト、フラッシュマウントされたエアロパーツについて説明している。「アノホワイト(Ano White)」塗装はロケットを保護するために使われるコーティング技術を応用したとされ、着色されたウィンドウは宇宙服のゴールドバイザーを模したものだという。

車内には、ステアバイワイヤ用に設計されたヨークステアリング、センタータッチスクリーン、そしてドライバー正面に2つの小型ディスプレイが備わる。また、テスラは軽量化のためにシート位置を固定式にして手動コントロールを採用したほか、全体にマグネシウム、チタン、カーボンファイバーを惜しみなく投入した。

3つのバージョン:Performance、Thrust、Rocket
詳細な構成が明かされたのは配信終了後、テスラの公式Xアカウントのスレッドにおいてだった。ラインナップは以下の3種類だ。
- Performance:公道走行対応、2人乗り、アクティブエアロおよび「マルチモード吸着(サクション)システム」を搭載。0-60mph(約0-96km/h)加速は1.6秒未満。予約可能
- Thrust:レース対応、2人乗り、リアにコールドガススラスタを追加。0-60mph加速は0.9秒未満。限定リリース
- Rocket:1人乗り、上方および回転動作のために車体周囲にスラスタを追加。0-60mph加速は0.59秒未満、最高速度は230mph(約370km/h)以上。完全招待制
テスラは航続距離を300マイル(約483km)以上としている。同社のロードスター公式ページには、Rocketは公道走行の認可を受けていないと明記されており、テスラはThrustとRocketをPerformanceモデルに対する「拡張仕様」として位置づけている。

スラスタこそがSpaceXの技術が活きる部分だ。テスラによると、真空ではなく大気中で動作させるには新たなハードウェアと制御が必要であり、車内のあらゆる利用可能な空間に圧縮ガスを貯蔵するための炭素繊維複合材圧力容器(COPV)が詰め込まれているという。ガスが多いほど「飛行時間」が長くなる。
テスラは、このスラスタがタイヤの許容限界の4〜5倍の力を発生させると主張しており、これによって従来のあらゆる自動車の加速を縛ってきたトラクションの限界を克服している。
吸着システムはその逆の役割を果たす。テスラによると、ファンが車体下部から十分な空気を吸い出すことで、静止状態であっても車体を天井に張り付かせることができるという。トラックモードでは車高が下がり、テスラがOptimus用に開発したのと同じアクチュエーターで駆動するアクティブウイングが展開する。テスラは「F1レベルに迫る」ダウンフォースを発揮すると主張している。

いまだ欠けているもの
テスラはロードスターの予約受付を再開した。10月15日時点の手付金は5,000ドル(テスラは全額返金可能としている)で、10日以内にさらに45,000ドルを支払わなければ予約はキャンセルされる。これはテスラが2017年に設定した50,000ドルと同額だ。
しかし、テスラは3つのバージョンのいずれに対しても価格を明示しておらず、生産開始時期についても、マスク氏の実際の言葉である「実のところ、2028年(2028, actually)」以外には何も示されていない。
また、一部のスペックは2017年の発表時から変更された。テスラは当初、航続距離620マイル(約998km)、最高速度250mph(約402km/h)以上、2+2の4人乗りを約束していた。新型モデルでは航続距離300マイル(約483km)以上、Rocketトリムでの最高速度は230mph(約370km/h)以上、乗車定員は最大でも2人とされている。
一方で、加速性能は大幅に強化された。ベースとなるPerformanceトリムは、2017年にテスラが約束した0-60mphの1.9秒を上回り、ThrustとRocketの公称値はリマック・ネヴェーラを含む市場のあらゆる市販車をはるかに凌駕している。さらに、印象的なスタントもこなせる。