2025年、インド太平洋での大規模任務中、イギリス海軍(Royal Navy)が史上初めて、英国製ドローンを用いて艦船間の補給に成功した。
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マロイ社製T-150クアッドコプターが、旗艦HMSプリンス・オブ・ウェールズから駆逐艦HMSドーンレスへと飛行し、予備部品や修理用パーツといった重要な物資を輸送した。
ドローンは離陸と飛行の大部分を自律制御で行い、約1マイルの飛行後、ドーンレス乗組員が管制を引き継いで飛行甲板への安全な着艦を誘導した。
この試験の目的は、ヘリコプターやボートによる補給の代替手段として、低コストかつ効率的な方法を確立し、それらを本来の作戦任務に専念させることにある。
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今回の取り組みは、英海軍がクイーン・エリザベス級空母に戦闘機、長射程兵器、各種先進ドローンを組み合わせたハイブリッド航空団を配備し、英国防戦略レビューに基づく計画を実現する一環だ。

700Xパイオニア飛行隊司令官 マット・パーフィット中尉は次のようにコメントしている。
パーフィット氏:この成果は、全員の努力によって成し遂げられた試験の重要な節目です。英海軍として初の成果を達成できたことを誇りに思い、今後の展開にさらに期待しています。
英国空母打撃群航空隊司令官 コリン・マクガニティ大佐は次のようにコメントしている。
マクガニティ氏:マロイ試験での今回の成果は、完全統合型ハイブリッド航空団のビジョンに向けた一歩です。マロイが後方支援の一部を担うことで、海軍ヘリコプターは本来の任務に集中でき、打撃群全体に迅速かつ効率的な補給を提供できます。さらに重要なのは、この経験を活かし、将来的に戦闘任務を含む多様な用途にUAVを活用していく計画です。
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運用と機体について
現在「オペレーション・ハイマスト」と呼ばれるインド太平洋での8カ月間の展開において、配備されたドローンはこれまでに150回近い着艦をこなし、20時間以上の飛行任務を遂行している。
今回の試験では、HMSプリンス・オブ・ウェールズと護衛艦艇が日本寄港の途上にあり、マロイドローン(8枚ブレード、最大68kg搭載可能、最高時速約96km、2名で運用)が第700X海軍航空隊により発進された。
T-150ドローンは英国の Malloy Aeronautics(マロイ・エアロノーティクス)社製で、同社は2024年2月にBAEシステムズの傘下に入り、軍民両用の無人航空システムを製造している。

英国防産業と国家戦略
英国防産業への継続的支援は、政府の「Plan for Change」に沿ったもので、防衛を国家防衛だけでなく、繁栄・イノベーション・国際的影響力を牽引する要素と位置づけている。
ルーク・ポラード国防大臣は次のようにコメントしている。
ポラード氏:英海軍はCarrier Strike Group 25での目覚ましい進展を通じ、ハイブリッド航空団の未来を切り開いています。自律システムの導入は今後の作戦に不可欠であり、この成果は、最先端のイノベーションと能力を海上にもたらすために、英軍と英国産業がシームレスに連携していることを示す強力な事例です。
マロイ・エアロノーティクス社CEO ニール・アップルトン氏は次のようにコメントしている。
アップルトン氏:T-150が英海軍に実際の利益をもたらし、重要なロジスティクスを低コストかつ容易に支援できたことは大変誇らしい瞬間です。今回の試験は、無人航空システムが複雑でコストのかかる現行作戦にいかに価値をもたらすかを証明しました。
HMSプリンス・オブ・ウェールズは、4月の展開開始以来、地中海・中東・インド・オーストラリアでの作戦を経て、現在は日本に寄港している。
