複数社で様々な運航安全管理システムの研究開発を進めるなかで、ウェザーニューズは2025年度末までに「AIリスクアラートシステム」や「低高度航空気象観測システム」、「低高度4次元高精細気象予測運用化技術」の実用化を目指し、災害発生時や緊急時に活動するドローンやヘリコプターの安全な運航に必要な新たな航空気象システムの開発の役割を担う。
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また同社では、これらの航空気象データをAPIとして提供し、JAXAらが開発している運航安全管理システムに連携させるとともに、航空事業者やドローン事業者専用のウェブサイトでの提供を予定している。同社は同技術開発を通じて、災害・緊急時等に運航する航空機のさらなる安全運航を支援していくという。
AIリスクアラートシステム
航路上の気象リスクのアラート通知や最適飛行経路の推薦
災害時は、土地勘のないエリアで、ドローンやヘリコプターを操縦することがある。2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震においても、冬季の日本海側特有の降雪や落雷、強風といった厳しい気象状況の中で運航判断が難しかったという声が、能登半島地震で活動された運航事業者からあったという。
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そのため、同社は発生場所や時間が特定しにくいゲリラ雷雨を含む様々な気象条件下においても安全に運航できるように、予測の時間的・空間的なズレをAI技術を用いて補正する技術を開発し、飛行ルート上の気象リスクを自動判定して通知するシステムを開発する。加えて、常用飛行ルート上の気象リスクを自動で予測し、最も安全な航路を推薦するシステムも開発予定だ。
低高度航空気象観測システム
ドローンの動揺データを用いた風の影響解析
災害時等は人が立ち入れない隔離地域や、既設の気象観測機では把握しきれない上空の詳細な気象情報を把握する必要がある。しかし、全ての無人機に気象観測機が搭載されているわけではないため、上空150m以下でホバリングしている機体の姿勢制御データから風による揺れの影響を解析するシステムを開発する。また、これによりペイロード(ドローンが運ぶことのできる重量)への影響を最小化する。
低高度4次元高精細気象予測運用化技術
ドローンが低高度を飛行する際には、構造物の影響や地形の影響により発生する乱流で安全が脅かされる場合がある。特に災害発生時は速やかな情報提供が求められるため、ビル等の3次元構造を考慮した5mメッシュ(四方)の細かさで、都市部の風をタイムリーに予測するシステムを開発する。
現在同社が運用している5mメッシュ超高解像度モデル(都市気象予測モデル)をベースとして、日本のどこで災害が発生しても24時間以内に高精細な予報を提供できるよう、従来よりも計算時間や計算コストを減らす運用技術を東京科学大学および筑波大学と共同で開発する。