この取り組みは、無線通信によるロボットの効率的運用に寄与し、労働力不足の解消に貢献することが期待されているという。
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背景
近年、労働力不足を補うため、多くの場面でサービスロボットをはじめとする自律移動体が一般社会生活に浸透しはじめている。自律移動体、例えば自動搬送ロボットやドローンは、モバイル通信機器による無線通信を介して制御されている。
一方で自律移動体は内蔵するモバイル通信機器、電子回路やモーターなどから無線通信に影響を与える可能性があるノイズを常に発している。移動体同士が近接・稠密化した場合、ノイズによる不要電波の干渉などにより、受信感度の低下や通信品質の劣化が起こり、機能不全を起こす問題が指摘されているという。そのため、今後増加が予想される不要電波への対策の必要性が高まっている。
研究開発内容
積水化学のフィルム成形技術を活用した透明フレキシブル電波反射フィルムとATRの測定技術を融合し、2022年より透明な電波暗箱の研究開発を実施、ノイズを効率的に抑制することが可能であることが分かってきた。
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不要電波による機能不全発生の課題解決のため、
①機器から発生するノイズを抑制する技術
②ロボットなどが移動することで変化する動的な電波環境を正しく測定しモデル化する技術
をともに確立することを目指すとしている。
上記①の技術については、メタマテリアル技術、電波吸収材、および成形加工技術の研究実績と製品を持つ積水化学が主に担当し、②の技術には、電波・高周波の測定に関する豊富な経験および電波伝搬に関する研究実績のあるATRが担当する。本取り組みによって確立された動的な電波環境の評価方法は国際標準化に向けた提案を予定している。
2024年度から4年間、積水化学の水無瀬イノベーションセンター(大阪府三島郡島本町)に設置された無線通信環境、ATRが所有する大型電波暗室などを用いて、ノイズ対策部材および評価方法の統合試験を実施していく予定だ。本取り組みの完了となる2027年度末には、自律移動体である自動搬送ロボットやドローンを安全安心に運用できる指標を提供し、労働力不足の課題解決への貢献を目指すとしている。