同実証は、土砂崩れや地すべり等の緊急時(災害発生時)における情報収集(特に夜間での計測)を目的としている。
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災害発生現場において夜間に情報収集が可能になれば、夜間時の安全管理だけではなく、翌朝からの救助活動方針の策定が可能になり、要救助者の安全な捜索や救助活動を行うために有効利用できる。消防研究センターが2022年2月に災害時を想定した夜間測量検証試験にもPRODRONEは協力した。
同実証では、平地に比べて難易度が高い自然斜面において日中・夜間にドローンレーザ計測を行い、ドローンレーザより得られる点群データの精度検証を行った。
概要
2023年3月8日から9日の2日間にわたって、フライトを実施した。ドローンを自動航行と手動航行で飛行させるとともに、日中と夜間の計測も行い、それぞれの取得データを比較した。
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消防研究センターの技術研究部地震等災害研究室、主任研究官の土志田博士は、同検証について次のようにコメントしている。
土志田氏:今回の実証実験は、土砂崩れや地すべり等の緊急時(災害発生時)における情報収集(特に夜間での計測)を想定しています。2022年2月に行った際は、平地での測量(愛知県豊田市藤岡ヘリポート)でしたが、今回は高低差のある自然斜面を対象としています。また、今回対象とした自然斜面は地すべり地形(過去に地すべりが発生した地形)で、実際に様々な大学・研究機関において地すべり観測等が行われています。
本実証では、自然斜面において日中および夜間での情報収集ができました。ただ、自然斜面を対象とした場合には、地形の高低差の問題が大きく、事前準備なしでは災害現場に到着後すぐにドローンを飛行させることは難しいと感じました。特に夜間の場合には、斜面側への飛行は安全上非常に困難だと思われます。今後は架線にも反応できる対物センサーやドローンの機能発展、特に地形追従飛行等が簡易にできるようになることを期待します。
※DSM(Digital Surface Model):数値標高モデル、またはデジタル地表モデルと呼ばれ、地盤(地形)と、その上にある建物や樹木などの地物を合わせた表層面を数値標高モデル化したもの
※SDEM(Substratum Digital Elevation Model):中日本航空の独自技術により植生下の地表面を鮮明化したモデル
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実施体制
消防研究センター | 実証実験とりまとめ、検証まとめ |
中日本航空株式会社 | 測量システムの構築、精度検証 |
株式会社プロドローン | 飛行協力と機材提供(発電機など) |
機体概要(PD6B-Type3)
基本スペック
大きさ | 2,181 mm×2,398mm |
重量 | 20.0kg(バッテリー4本含む) |
飛行時間 | 20分(4.9kg搭載) |
バッテリー | 16,000 mAh×2本 |
同実証で使用した機体(PD6B-Type3)は、高い安全性が求められる国土交通省の飛行許可申請Level3に対応するドローン配送本格運用機体。国内で初めてドローン配送事業の本格運用に採用された機体で、現在も長野県伊那市で配送事業を行っている。機体設計やシステム冗長化により高い安全性を実現した。保護等級IP44、前方衝突防止機能など高い適応性と安定したフライトが可能。収納時の大きさは通常の半分以下と扱いやすくなっている。