CCAは、航空自衛隊のGCAP(次期戦闘機)を始めとした各国空軍の有人戦闘機のバディ(僚機)に近い将来なると目されるだけに、注目しないわけにはいかない。会場に並んだCCAは一目見て、いずれもジェット練習機程度のサイズに収まっていた。なら、このサイズがCCAの"標準”となるのか。
これまでで最も多く目についた
無人機はこの10~15年間ほどで勢いを伸ばし、国内外の展示ショーで目につくようになった。当初は小型のマルチコプター型や中高度長時間滞空型(MALE)の偵察ドローンが主だったが、単機で攻撃するUAV(戦闘用無人機)が現われ、ほどなく小型の目標突入型の攻撃ドローンが増え、7月のファーンボロ航空ショーには迎撃型の小型ドローンも並んだ。同じように、有人戦闘機の先兵や盾となるCCA(Collaborative Combat Aircraft)も実機、あるいは実物大模型が他の航空ショーも含めて、これまでで一番目についた。
と言っても、CCA自体まだ数十機種もあるわけではない。姿を現わしたのは、ボーイングと豪州の共同開発によるMQ-28とエアバスU760、ゼネラル・アトミックス・エアロノーティカル・システムズ(GA-ASI)のFQ-42A。それに、英国のBAEシステムズが初公開したブロンタナックスの4機種だ。アンドゥリルのFQ-44Aは展示棟が「招待者のみ」ゆえにその姿を確認できず、中国とロシアを除けば、実物大で見なかったのはトルコが開発中のカーン戦闘機の「僚機」に構想しているバイラクタル・クズルエルマくらいだった。


それら4機種の機体サイズは、推定値や非公表もあるが、ファーンボロで見た後に能う限り調べると全長は11~13m、全幅は7~10mに収まっている。これは小型有人戦闘機の代表格である米国のF-16(全長15.03m、横幅9.45m)より小さく、ジェット練習機並みになる。実際、ブロンタナックスは、英空軍の練習機ホーク(全長12.43m、全幅9.94m)と「ほぼ同じ」と報じられもした。
垂直尾翼1枚に表れた割り切り感
「僚機を目指す」無人機が戦闘機より一回りも二回りも小さい理由を考えると、真っ先に「フルスペックを目指していないから」が浮かぶ。顕著にそれを表したのがFQ-44Aだ。FQ-44AはCCAの中で飛びぬけて小さく、全長は6.1m、全幅は5.2m。「使い捨て」とまではいかないものの、運用コストを抑え、消耗可能な「割り切った」機体として開発された。それは、有人無人を問わずステルス性の確保はデフォルトの中、不利と言われる1枚のみの垂直尾翼に何よりも表れている。
武装はほかのCCAも空対空ミサイルを多くは積まない。そもそも操縦士は乗らないから、運用コストは真っ先に下げたくなる。一説によると、戦闘機の中でも安価なF-16の1時間当たりの運用費は約2万2000米ドル(1ドル158円として約347万円)。前述のホークは約5000米ドル(約79万円)という。ならば、サイズは一定の役目を果たせば小さい方が良い。
エンジンも練習機に使われる規模の推力が確保しやすくなり、供給確保への懸念は低い。運用費が低ければ数を揃えることもでき、数を揃えることができれば、「僚機」は増える。どことなく、かつて米空軍がF-15の高価格化に伴い安価なF-16が採用した、ハイローミックス構想に通じるようであり、歴史は繰り返すでもある。
航続距離を求めたら「大」に
ただし、CCAも子細に見ると各国で1~2mほどの差はある。全長全幅はさほど小さくはないものの、高さは2mと他のCCAに比べて低く、「小」のイメージが出てしまうMQ-28について、ファーンボロ航空ショーの会場で機体脇にいたボーイングの社員にわけを尋ねると「ボーイングが最初だからね」。
確かにボーイングと豪州がMQ-28を発表した際、コンセプトを「忠実な僚機」と打ち出していた。その後に米空軍がCCAなる言葉を用いるようになり、今はCCAの方が通りはよいかもしれない。「最初だからね」には、有人戦闘機と最良の組ませ方を手探りするパイオニアの意味が込められていたように思う。これに対して、「大」であるブロンタナックスについてBAEシステムズの答えは明瞭。「航続距離を求めたから」。燃料タンクの容量を増やし機体も必然的に「大」になったと、機体脇で社員は説明していた。
目的により機体サイズに大小が出るのは無人機も変わらない。ならば、将来はどちらへ振れていくか、振れる可能性はあるか。ちなみに川崎重工業がショーで展示していたイメージ図は、CCAではなくCSA(Collaborative Support Aircraft:連携無人機[支援型])と名付けられ、他機種同様にAI(人工知能)を用いつつも、役目はEW(電子戦)やISR(情報・監視・偵察)としていた。いわば、「盾」寄りのコンセプトといえる中、イメージ図には大小2機種が描かれていた。

川崎重工のイメージ図の前に禅問答?
余談だが、絵画を見る前にあらかじめレクチャーを受けると、込められた意図などを推し量ることができる。同じように、川崎重工業の大小2機種を見る前に、偶然ながら某国の某技術者とCCAのサイズについて話す機会を得た。
かしこまった取材でもなく、やはり国際航空ショーともなればセールスへの意欲もサービス心も入る。立ち話であれば形式じみた質問も二の次になる。某技術者曰く、「CCAはどの国もまだ本格運用に入っていない。無人機自体はロシアによるウクライナ侵攻で使われ、一気に世界中に効果が認知されたが、それらの多くは攻撃型では歩兵が扱うサイズが多く、偵察用も多い。CCA自体は各国とも研究段階といえる」
航続距離の確保へ機体は大型化するのではないか、との問いには「空中給油機能は後付けもできる」。では、CCAにはどの程度のステルス性能を持たすべきか。「操縦士が乗るゆえ有人機の方を高くしなければならない。とはいえ、随伴無人機のステルス性が低くければ見つかる確率は高い。『そばに敵の有人機もいるぞ』になってしまう」。
禅問答めいてもいたが、CCAの開発・研究現場でも問答は起きているのだろう。現在登場しているCCAは、有人戦闘機と同じ性能を求めずコスト削減へ振る結論を下したが、近年の無人機の増殖ぶりとAIの発達を考えると、やがては「逆もまた真なり」、性能向上を目指す動きが現れるのではないか。
「標準」を促すのは「鉄則」、そして日本の事情
戦略戦術では、敵の力を殺ぐとともに味方の損害も極力抑えなければならないのは鉄則だ。出なければ、次の作戦は発動できない。味方の人的損害を防ぐため、CCAは将来、高性能を目指すだろう。そこには重武装化も含まれ、機体は必然的に大型になる。高性能化に合わせて機体価格も上昇する。米国のF-15と後継機のF-22のようにだ。そうなると、今度はコスト抑制への動きが唱えられて小さい機体が求められるかもしれない。ここでも「歴史は繰り返す」。
そして、以下は日本国内の基地事情といずれGCAPの僚機になる日本版CCAについてのみ記したい。四方を海に囲まれた地理的環境から見れば、日本版CCAは燃料を多く積まざるを得ず、機体サイズは大きい方へ振れるだろう。その一方、自衛隊の基地は新機種を配備する際に周辺住民の理解は欠かせない。機体の大きさと騒音は比例すると思う住民がいてもおかしくない。
実際、防衛省は米軍基地への無人偵察機の配備の際に「軽量、小型で騒音も低い」と説明してもいる。これを考えれば、日本版CCAは小さいサイズに収まるとも考えられる。このあたりは、日本でも研究は進んでいるのでそう遠くない時期に明らかになるだろう。CCA自体はいまや世界のトレンド。今後も増えるのは間違いない。関心を持って見ていきたい。