「あいちモビリティイノベーションプロジェクト 空と道がつながる愛知モデル2030」採択がスタート
このプロジェクトは、愛知県から新しい新産業を創出するために同県が構築した新しい産業振興「革新事業創造提案プラットフォーム(A-idea)」の中で「あいちモビリティイノベーションプロジェクト 空と道がつながる愛知モデル2030」が採択された。
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10月26日、「Japan Mobility Show 2023」一般公開を前に「空と道がつながる愛知モデル2030」ブースで、官民連携「空飛ぶ軽トラSORA-MICHI」プロジェクトである「空飛ぶ軽トラ」SORA-MICHIが初お披露目された。そこでPRODRONE戸谷CEOにJMS2023でその「SORA-MICHI」が誕生するまでの経緯を聞いた。
「空飛ぶ軽トラ」に秘められた思い
――:「空飛ぶ軽トラSORA-MICHI」が生まれた経緯を教えてください
戸谷CEO:革新事業創造提案プラットフォームが組成され、愛知県から新しい新産業を創出に当たり、民間から新しいアイデアを求められていました。半年ぐらいかけ、企画を作り応募しました。今回の企画タイトルを「空と道がつながる『愛知モデル2030』」としました。2030年には空のUTMと地上の路車間、車間の通信が統合されていくだろうと。そうすると、空と道がシームレスになるので、空の飛行や道を走ったりすることは、「空を飛んでいる」「今地上に降りた」交互な状態で、エネルギー最適にしていくのではないかなと。
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そこに新しい産業が生まれ雇用も生まれる。まさに令和の「殖産興業」と名付けています。愛知県に提案をし、革新事業創造提案プラットホームの第1号として当社が採択されたことが第一歩となります。
それが今言った「空と道がつながる」。プロジェクトの名前が「SORA-MICHI」ってみんな言及するようになりました。「道、ときどき空へ」というのがタグラインで道も走り、そして必要に応じて空も飛ぶ。もともとそんなことから「SORA-MICHI」とネーミングしました。
――:SORA-MICHIは、タイヤがあります。駆動して走るということですか?公道を走ることも考えていますか?
戸谷CEO:基本的には空飛ぶときにはエンジンなのですけれど、道を走るときは4輪に電源駆動のサーボモーターが実装されていますので地上走行は、EVです。EVでエンジンを回し、それでジェネレーターを回して発電してバッテリーをチャージして。ある意味ハイブリッド車とも言えますね。
もちろん公道を走りたいのですが、当面の間はAGV(無人配送ロボット)としての活用となります。ただ無人配送ロボットの大きさを超えているため、この件にはついては、愛知県が「あいちデジタルあいらんど」という愛知版のスーパーシティを空港周辺に創成する話がありますので、PRODRONEとしてはそのセントレア周辺の常滑市で、実際に飛んで降りて荷物を配送する。今度は地上のラストワンマイルにお届けするということを始めたいなと思っています。そして将来的には、公道を走行可能にしたいなと強く思っています。
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当面は無人で自動走飛行ですね。無人運用で、ユニークで、社会と地域に貢献できる、地域課題に貢献できるものを目指しています。
――:今回の「空飛ぶ軽トラ」の最大の売りはなんでしょうか?
戸谷CEO:例えば「空から道へ、道から空へ」と"一次交通"そして主要な交通手段に対してのもう一つの交通手段“二次交通"がありますが、「空飛ぶ軽トラ」であれば、"一人MaaS(Mobility as a Service)"が可能になることです(笑)。ドローンにおける物流の圧倒的なゲームチェンジャーになり得ると思っています。
空水陸無人モビリティーカンパニーで世界へ
――:今後の未来について、PRODRONEのロードマップなどを教えていただけますか?
戸谷CEO:未発表なのですが、2030年までにPRODRONEは世界の"空水陸無人モビリティーカンパニー"になろうと思っています(笑)。着水して、そこから再度上昇していく。それはKDDI株式会社と共同で開発している水空合体ドローンで実現済です。
「SORA-MICHI」はモジュール式の構造のため、上部と下部を用途に応じて変更可能になります。タイヤだと地上走行を、下部を船にすると水進します。「SORA-MICHI」の下部を交換してフロートにすると「SORA-MIZU」になるのですよ。難路はキャタピラモジュールを用意しようと思っています。どんどんトランスフォームするような。
そういう2030年、そんな先ではないと思いますが、その時には世界にもあまりない、空と水と陸を全部行けるようにカバーする。無人モビリティで。それをPRODRONEは担ってまいります。
――:夢が広がりますね。4足歩行のロボットが実用化されるようであれば、それもモジュールになりますね。今回の「空飛ぶ軽トラ」という名称は、全世界の共通言語になれば良いですね。
戸谷CEO:良いですね。「空飛ぶ軽トラ」は一般的用語ですので、商標などは取れません。産業用ドローンとして、「SORA-MICHI」の商標は今手続き申請中です。
――:今回、スズキのブースで、なんか「軽トラ祭り」をやっていますよね。若い人たちに軽トラが人気なのですよね。
戸谷CEO:「軽トラ市」ですね、あれはもう、スズキがずっとやっている、軽トラを並べると商店街になるっていう。元々トヨタがeパレットでやっていたのですが、軽トラ市の方がやっぱり馴染みが良くて人気ですね。
実は、社用車が軽トラなのですよ。マニュアルで四駆なのです。お客さんのところに軽トラで行って、「PRODOROENでーす」ってお邪魔しています。全部ナンバーは同じで全部「4912(よく飛ぶ)」なんです。
今回のプロジェクトでは、愛知モビリティイノベーションという名称です。その中で、PRODRONEと愛知県は、2025年まで「空飛ぶ軽トラプロジェクト」を行います。
PRODRONEは2026年にできる「愛知県基幹的広域防災拠点」でのドローン活用で南海トラフに地震が来たときにどうする?と言う話は、すぐ取り組まなければなりません。災害においては国土強靱化計画に沿って作る。防衛においては国家安全保障戦略を作るなど、PRODRONEはこれらの柱で進めています。
――:「空飛ぶ軽トラ」を今回発表されて、最大2030年までのプロジェクトとして推進されています。具体的に我々が使用可能な時期はいつ頃なのですか?
戸谷CEO:2024年度3月までにサービスは実現したいですね。その後2025年度に販売開始を予定しています。そのために資金調達は必要なのです。
「空飛ぶ軽トラ」は、元々は独自のコンテナを積載する計画でした。40フィートのコンテナを積んで、いわゆる標準化したモジュールにしようと思っていました。皆さんに使えるように一般化してとか、何だかおこがましいなと思いました。
初心に帰れということで、軽トラのユーザーと同じく、ポンと積む。ただスペースが空いている潔さ、ユーザーが使い方を決める方向が良いだろうと。軽トラは、ショベルとかポンポンと積んで走る。何かあったら、そこにネットかけて飛ぶ気軽さ。色々と考え過ぎたかなと思ったのです。そんなあまり特筆すべきものがないのが"特質"だと思います(笑)。
――:ユーザーが自由に使ってくださいってことですね
戸谷CEO:そうなのです。つまり軽トラやトラックの自動車メーカーの架台は、架装メーカーがユースケースに応じて制作することが多いのです。例えば三菱ふそうはトラックを生産するけど、荷台の部分はパブコが作っていたり、日本フルハーフが手がけているのです。ローダーにしたりとかダンプしたり用途に合わせて制作しています。
――:「空飛ぶ軽トラ」の価格はどれくらいになるのでしょうか?
戸谷CEO:ここはまだ未定です。エンジン次第なのです。エンジンってやっぱり量産化をするために大きなハードルを越えないとなりません。現在PRODRONEの力では大きな壁となっています。開発をどうしようかなと思っているところです。
汎用品を使用したいのですが、今はまだ輸入品のロータリー、シングルエンジンを使用しています。もちろん飛んでいますが、量産化に向けても考えなければなりませんね。
「空飛ぶ軽トラSORA-MICHI」の誕生秘話を戸谷CEOは陽気に語ってくれたが、その一言一言に力強さそして空飛ぶ軽トラ実現の確度の高さを感じるインタビューとなった引き続きPRODRONEに注目していきたい。