スズキブースは「世界中に、ワクワクの、アンサーを。」テーマに、四輪車、二輪車のコンセプトモデルをはじめ、次世代モビリティ、船外機など、総合モビリティメーカーとしての技術を発揮し、これからの社会に必要とされる多彩なモビリティを提案していた。
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主な出展モデル
次世代四脚モビリティ「MOQBA(モクバ)」
パーソナルモビリティのほとんどは段差や傾斜に弱いことが課題となっているが、MOQBAは四つ脚の先に車輪が付いており、平地は車輪、段差や傾斜は四つ脚をシームレスに切り替えてどこでもスムーズな移動を可能にする。
馬のようにまたがって乗ることで乗車姿勢を安定させるが、ハンドルも同じく姿勢を安定させるのに握るだけで、移動のコントロールは手元にあるボタンを押して操作するようになっている。
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さらに通常の「椅子モード」からシートがやや高い位置になる「立ち乗りモード」、そして緊急時に人を乗せて移動させる「担架モード」に切り替えられる。走行中にうっかりモードを切り替えることがないように、操作は別付けのリモコンで行うようになっているのもポイントだ。
電動新モビリティ「SUZUKI GO!」
スズキは同じブースでシニアカーも出展しているが、利用したいと思っていてもシニアカーの持つイメージから敬遠しているという声がよく聞かれることから、基本機能はそれほど大きく変えず新たにリデザインしたパーソナルモビリティを提案している。
世代を超えて誰でも乗れることを意識したという「SUZUKI GO!」は、アキラバイクをイメージさせる印象的なレッドカラーに、横から見るとGに見える個性的なデザインになっている。それでいて座り心地はとても良く、シートに座ると身体を囲まれたような安心感が得られる。
操作性にもこだわっており、手元のジョイスティックで直感的に操作できるだけでなく、前面の左右に入ったライトがウィンカーになっていて、移動する側のライトが自動で点滅し、正面を向くと自動で消灯するようになっている。うっかりウィンカーを出したり消し忘れることがなく、このUIは全てのモビリティで採用されてほしいところである。
荷物はあえてカゴを使わず足下に収納できるよう大容量のスペースが確保されており、そのおかげで足下の安定感も確保されている。現時点ではパーソナルモビリティとしての用途で開発されているが、担当者は今回の発表を機にいろいろな意見を取り入れながら開発を進めていきたいと話す。
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電動パーソナル/マルチユースモビリティ「SUZU-RIDE/SUZU-CARGO」
今年7月に新たな車両区分が制定され、16歳以上は運転免許不要(ヘルメット着用の努力義務有り)で乗れる特定小型原動機付自転車が設けられた。電動キックボードのような手軽な移動手段が歓迎される一方で、より転倒しづらく安定走行が可能なタイプのモビリティも求められていることから、スズキはあえて四輪の特定小型原動機付自転車を2タイプ提案している。
SUZU-RIDEは原付に近い移動手段として使うことを目的に、大きめの収納ボックスの上にシートを付けたデザインになっている。
もう一つのSUZU-CARGOはその名のとおり荷物を運ぶことに特化しており、シートの後にある荷台はもちろん、足下のフロアの両側にワイヤーを固定できるフックを付けるといった細かい工夫が取り入れられている。
いずれもハンドル周りはシンプルでスピードメーターも小さく、ウィンカーはハンドルの両脇に付けるなど、とにかくコンパクトさが追求されている。デザインはカラーも含めて世代を超えて受け入れられるテイストにしており、初めてモビリティに乗るという若い世代が楽しく乗れるようなカタチにしている。
電動スクーターの実証実験車「e-BURGMAN(イーバーグマン)」
スズキのBURGMANシリーズをベースにした実証実験車両で、動力にGachacoが提供する交換式バッテリーシェアリングサービスで使用するバッテリーを使用している。
現時点ではパワーの面で既存125ccスクーターには及ばないため、通勤、通学、買物に利用できる手軽でエコなモビリティとして提案する方向を検討している。
水素エンジンバーグマン(試験車両)
同じくBURGMANシリーズをベースにした試験車両で、市販モデル「バ―グマン400 ABS」に70MPaの水素タンクと水素エンジンを搭載している。水素タンクのサイズに制約があることから、あえてNOxの排出量を減らす方向で開発を調整しているとのこと。前述のe-BURGMANもそうだが、今後様々なデータを収集することで、今後の電動二輪車全体の開発につなげていこうとしている。
近距離モビリティ「e-choinori(イーチョイノリ)」
2003年の発売でヒットした50ccスクーター「チョイノリ」をベースに、パナソニック サイクルテック社製の電動アシスト自転車に使用されているバッテリーを駆動ユニットにしたEVスクーターで、分類は原付一種に相当する。
元々のデザインをできるだけ変えずに電動化することに成功しているため、いつ発売されてもおかしくないような完成度に見えるが、連続走行距離やパワーの点ではまだ課題があるため、その点をどうするかは今回の発表で意見を聞きながら検討していくそうだ。
折り畳み電動モペッド「e-PO(イーポ)」
同じくパナソニック サイクルテック社製の電動アシスト自転車のバッテリーを使用した、折り畳み可能な原付一種相当の電動モペッド。フル電動走行、アシスト走行、ペダル走行の3モードがあり、スロットル操作でスクーターのように漕がずに走行できる。
アシスト力が強いので自動車道も安心して走行できるが、原付扱いになるためナンバープレードが必要など道交法に従わねばならないところがあり、その点については今後はどのような方向性で開発を進めるか検討中とのことだ。
また、スズキは今年6月にSkyDriveと「空飛ぶクルマ」の製造に向けた協力について、基本合意書を締結しており、来年春頃からスズキグループが静岡県内に保有する工場を活用して製造を開始することを目指している。ブースでは1/5サイズのスケールモデルと共に協業内容が紹介されていた。