昨年の出展時はまだまだ国内におけるドローンショーの認知度は高くなかったが、G7広島サミットにあわせて開催された「#HIROSHIMAミライバトン」では1000機、おなじみのキャラクターが夜空を飛んだ「『ポケモンGO』スペシャルドローンショー」では700機のドローンショーを実施するなど実績も重ね、今年の来場者はレッドクリフの手かげたドローンショーを現地やSNSなどで見た方がほとんどだったようだ。
- Advertisement -
レッドクリフのドローンショーの特徴は、機体数の多さはもちろんだが、ドローンショーを広告媒体として捉えて展開しているところだ。引き合いは自治体などが多いとのことだが、その自治体から費用をもらうわけではなく、ドローンショーにスポンサー枠を設けて企業ロゴやマスコットを表示する仕組みを取り入れている。企業や団体側は認知度拡大やブランドイメージ向上などを目的に出稿する。機体を意図通り正確に制御できるドローンならではの広告モデルと言える。
夜空にアニメーションを映し出す機体は、ドローンの聖地とも言える中国深圳市に本社を置く高巨創新(HIGH GREAT)の「EMO」。HIGH GREATはギネス記録(2023年6月現在)となる5184機のドローンショーを実施した実績がある中国屈指のドローンメーカーのひとつで、EMOはドローンショー専用に設計された新型機体だ。12個のビーズを搭載した超高輝度LEDランプや最大30分を超える飛行時間、物理的に360°囲ったプロペラガードも備える。一見、重そうに見える機体だが250g程度しかない。
物理的に360°囲ったプロペラガードは、万が一機体同士が接触した際にも両機の安全を確保することに役立つ。初歩的な安全対策のひとつだが、自治体など主催者の方々の安心材料のひとつにもなっているという。実際、1.5m間隔ドローンがひしめき合うドローンショーでは、重要なパーツとなる。
- Advertisement -
機体はRTK(リアルタイムキネマティック、通常数メートル以上出るGPSの誤差を小さくすることができる)でcm単位の誤算範囲で管理、夜空に正確なアニメーションを描くことができる。機体の安定性・安全性も高く、一般的なドローンショーでは毎回うまく動作しない機体が一定の割合で出るのが常だが、EMOを運用しているレッドクリフの実績としては1000機のショー本番で1機もうまく動かない機体がなかったという。テスト時を踏まえても、1%未満の不具合率とのこと。不具合機体が多いとせっかくのアニメーションも“ドット抜け”が起きて興ざめしてしまうだけでなく、スポンサー枠を提供している以上、本来の価値を提供できない可能性が出てしまう。ドローンショーの機体で不具合率が低いということは、エンターテイメントとしても、広告ビジネスとしてもとても重要な要素となっている。
バッテリーはL字型になっていて最大限バッテリーが詰め込まれている。33分(メーカーカタログ値)の飛行を実現するデザインの工夫だ。ドローンショー自体は安全マージンを考慮して20分前後で構成されている。
ドローンショーの運用は社内のプロデューサー(営業や案件進行)、アニメーター(3Dモデリング)、オペレーター(ドローンをPCで管理・コントロール)、現場監督(現場進行、タイムスケジュール管理等)の役割に分かれてシステマティックに行われている。
今年の夏は大型のイベントが重なっているそうだが、上記のチームを2チーム同時運用できる体制を構築し、問題なく進んでいるという。「世界から呼ばれるようなドローンショーのチームにしていきたい。」というレッドクリフの佐々木代表取締役。
今年の夏は各地でレッドクリフのドローンショーチームが夜空にアニメーションを描くことになるだろう。みなさんも、ぜひ一度見に行ってほしい。