東洋製罐は1919年〜国内初の自動製缶装置による製缶を開始した老舗企業で、その技術を活用してドローン用の遠隔スプレー缶噴射装置「SABOT-3」を開発した。
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SABOT-3はMatrice 300 / 350シリーズのアタッチメント部分に直接装着し、操縦用プロポの操作でノズルからスプレーを噴射することができる。点検時に確認した肉眼ではわかりにくい小さなクラックにマーキングして補修の目印としたり、一部のサビに対して防サビやサビの進行抑制を行う黒錆転換剤を噴射したりすることができる。
ドローンによるコンクリートの点検作業を行うと、肉眼では見えないレベルの小さなクラックを見つけた際にその応急処置まで求められる場合が多々あるという。そのような際に、点検したその機体でそのままコンクリート剥落防止剤や表面含浸材などを噴射して応急処置をすることができる。
応急処置のためだけに足場を組む必要がなくなり、さらに点検した操縦者がそのまま噴射処置できるのでコストや手間の削減にもつながる。ドローン点検業者側も、点検だけでなく応急処置まで対応できることから、ドローンの稼働率を上げたり、付加価値を提供したりという機体の投資回収にも役立つという。
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噴射できる液体もコンクリート滑落防止剤、コンクリート表面含浸材、黒錆転換剤、マーキング剤、長期のマーキングにも対応したタッチアップ塗料、鳥忌避剤などさまざまな用途に対応する。特に群れで行動し高い場所に居所を作ってしまうムクドリなどへの忌避剤散布はドローンの飛べる特性も活かせそうだ。
SABOT-3の後部からスプレー缶を挿入するだけで装填は完了する。噴射原理も、スプレー缶を後ろから圧力をかけるという実は意外とシンプルなもの。スプレー缶の中身がなくなればカートリッジのように入れ替えるだけだ。
長時間、または広範囲に渡って噴射作業をする場合には噴射量を拡大する補助噴射装置「増槽」が便利だ。写真のMatrice 350 のように両方のレッグに2本ずつ装着すれば、合計5本分のスプレー缶を装填することができる。
スプレー缶の噴射はプロポの画面で照準を定めながら噴射する。画面にはノズルについたカメラからの映像が映し出され、カスタマイズされたインターフェイスには、中央に照準(噴射した液の到達予測場所)、その左上に噴射対象物までの距離が表示される(ノズルに距離センサーも搭載されている)。適切な距離であれば緑色の数字で表示されるが、射程距離から外れると赤い数字となり警告される。
噴射の操作は、プロポ裏側にあるC1ボタン(左手裏)を押すとロック解除、その直後にC2ボタン(右手裏)を押すだけだ。シンプルな構造と操作だが、安全管理もしっかりと備わっている。
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開発はMatrice100の時代から始まり、M210v2に対応したもので初めて製品化されたSABOT。代理販売をするSEKIDOのブースでも大きな注目を集めていたことから、現場のニーズを拾った製品であることがわかる。今後の用途の広がりが楽しみだ。