エアロセンスは、NTTドコモとの提携により機体へのLTE通信機能の標準装備、そしてNTTドコモによりエアロセンスの機体を活用した「docomo sky 医療品配送パッケージ」や「docomo sky 広域災害対策パッケージ」の提供が開始されるなど、レベル4を見据えた動きが活発だ。2019年、当時CTOだった佐部浩太郎氏が代表取締役社長に就任し、日本製ドローンとしては珍しい本格VTOL(垂直離着陸型固定翼)型ドローンAerobo Wingをデビューさせるなど「ものづくり」に対するこだわりも強い。
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エアロセンスはもともとソニーモバイルコミュニケーションズ(後に、現ソニーグループ株式会社へ全株式譲渡)と自動運転やロボティクス開発のZMPによる合弁会社だ。2015年8月にZMPの谷口氏が代表取締役、ソニーで初代AIBOの開発にも携わった佐部氏がCTOに就任する形でスタートした。明らかに"ロボティクス"を意識した体制から発表された初期開発機体は当時からVTOL型の機体であった。
開発は「技術を使って社会の課題を解決していきたい」という思いから、「実際にエンジニアが(ときには佐部氏自ら)現場に行き、一緒に実証実験を行ってそのフィードバックを開発にまた活かしていくということを繰り返してきた(佐部氏)」という。
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Aerobo wing開発時には山間部の調査用途に相談があり当初は長距離飛行が主な要件だったのだが、実際に現場に行ってみると高い耐風性能や数百メートルの飛行高低差が必要な調査環境だったという。そういった現場のニーズをフィードバックし、Aerobo wingは開発された。
佐部氏は自社のものづくりの考え方について下記のように語った。
技術が高く、広く普及している中国製のドローンに対して自社の機体が国産だから売れるということではない。その需要が来る前から特徴を出したものづくりをするしかないと我々は開発してきた。それが故のVTOL型や有線給電機体の開発やクラウドを活用した一気通貫のドローン測量解析パッケージのような他社にはない特徴的なものづくりだ。
普通のドローンにはない特徴を持ったドローンを開発することで、仮に国産というくくりで比較されても他のドローンとは違うと言えるようなものづくりをしてきている。
docomo との提携によりLTE通信を標準搭載したドローンの活用範囲が広がるだけでなく、docomoのような大手企業がエアロセンスのパッケージを販売することで広いユーザー層にソリューションを届けることができることになる。筆者がエアロセンスを初めて取材させていただいたのは2015年の設立発表時。
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当時は開発と営業のみというシンプルな社内体制だったそうだが、「今では事業ユニットに広報や経営管理部、カスタマーサポートなどを整え、機体生産についても量産に耐えうるクオリティや体制を整えている(佐部氏)」。新しいフェイズに入ったエアロセンスは引き続き取材し、みなさんにもお伝えしていきたい。