今年は完全なオンライン開催となった「CESデジタル」では、出展数が昨年の4400から半分以下の2000程度と大幅に減った。ドローン関連はDJI、AEE、PowerVisonといった常連が出展せず、中国企業が軒並み出展をとりやめた(といっても国別の出展数では201と3番目に多い)こともあり、開期前にドローンに関しては、ほとんど話題は無いのではと思われていた。
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ドローンカテゴリのトップページ
しかしながら、プレスカンファレンスでSONYが空撮用ドローン「AirPeak」の実機を冒頭にお披露目し、米国大手通信キャリアのVerizonが基調講演で、2017年に買収したドローンサービス会社のSkywardと、貨物運送企業UPSのドローン配送会社UPS Flight Forwardと提携し、4G LTEでの配達用ドローンの運用テストを開始と5Gでの展開を目指すこと発表し、ドローンは話題の中心にいる。
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さらに、EV開発に舵を切ったGM(ゼネラルモーターズ)から、Cadillacのフューチャーコンセプトとして、自動運転シャトルとあわせてVTOL personal droneまで発表された。シングルシートの機体はラグジュアリーさを追求したシンプルなデザインで、前方と後方に2つずつ突き出た巨大なローターが特徴的だ。建物の屋上から垂直離着陸し、時速90kmで飛行するという。
また、28あるカテゴリで優れた製品を表彰するInnovation Awardのドローン部門では、米国ドローンメーカーでNTTドコモが国内で発売を予定している「Skydio X2」が唯一受賞し、全ての製品から優秀な製品を表彰するBest of Innovation Awardにも選ばれている。
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"ドローン"で検索すると100近い展示がヒット
CESではドローンが登場した当初から注目のカテゴリとして取り上げており、商用から業務用まで幅広い製品が出展されている。CES2021ではEXHIBITORS(出展社)を検索して探すのだが、カテゴリの「drones」では78社、「drone」で検索すると94がヒットする。その中には、Autel Roboticsや昨年「EVOLVE 2」を発表したXDynamics、日本のSkyDrive Inc.などのドローンメーカーがあり、数は多くないもののスタートアップもいくつかあるが、ドローンに搭載するライダーやセンサーを開発する企業も含まれている。
深センのFlypie Technologyは、6Kでの撮影が可能なクワッドコプター「Flypie Drone 6KPRO」を発表した。スーパープロセッサと45分間飛行できるロングバッテリを搭載した黒い機体は重さが1128g以下で、最高時速72kmが出せて500mから1kmの距離をコントロールできる。SONYの1インチCMOSでクリアでワイドな動画が撮影できる。「Flypie Drone 6K Air」は機体が白く、重さは840gと軽量化され、飛行時間は26分となっている。
韓国のBCDencは4Kで360度を空撮できるドローン「BCD360VR」を発表している。サイトやプレス資料がほとんどないので詳細は不明だが、水中向けも開発中だということがわかる。
ラトビアのFIXAR-AEROは、航空写真やリアルタイムモニタリング、配送に利用できる産業用ドローンとソリューションを開発している。ウィングタイプの「FIXAR 007」は重さは約2kgで独自のフライトオペレーティングシステムを搭載し、最高飛行時速72kmで飛ぶことができ、1度の充電で60kmの距離を移動できる。
ロシアのUnmanned Systemsはマルチローターと固定翼ドローンを開発している。マルチローターの「X6M2」は55分の長時間飛行が可能。固定翼と回転翼を組み合わせたコンパーチプレーンのSupercamはシリーズで複数のタイプがあり、「SX350」は最高時速120kmで最大120分間飛行できる。最大50kmの範囲でHDビデオをリアルタイム送信でき、マルチスペクトルカメラやレーザースキャナーなども装備できる。他にも衝突回避システムを備えたX4Sや、格納ドックのSuperBOXも発売している。
イスラエルのスタートアップIndoor Roboticsは屋内ドローン「Tando」を発表した。四角い換気扇フードのような形をしたドローンは普段は天井のアタッチメント・ドックに格納されていて、外部からリモートコントロールもしくは設定した時間に自動で屋内の監視や検査を行う。AIを用いた飛行システムは特許を取得しており、障害物を回避したりニーズに応じた飛行ができる。
ユニークなところでは、南アフリカのWEAPONが、飲料の入ったディスペンサーをドローンで交換配達するサービスのデモ動画を公開。香港のOpen Ocean Engineeringは海や川などゴミをAIビジョンで検知して掃除する安価なロボット「Clearbot」を出展している。
他にもドローンに装着できるライフセーバーキット「ES Gurdians」を開発する韓国のEastern Sky、同じく韓国でドローンレース向けのシステムを開発するG.DRONE、高性能ドップラー・ライダーを開発する京都大学発ベンチャーのメトロウェザー、2018年に空気清浄ドローンを発表していたCreative Technologyなどが出展していた。
CESを運営するCTA(Consumer Technology Association:全米民生技術協会)は、ドローンがプロシューマー向けのエンターテインメントから、新型コロナウイルスの影響で求められる非接触での配達や医療品の提供や、大気や室内の空気を監視などに幅広く利用されていると分析している。消毒や空気清浄でも無人のドローンは活用されており、来年は進化した製品が登場するかもしれない。