ほぼ大型ドローン機体の展示。わかりやすい深圳のマーケット構造
「International UAV Expo Shenzhen 2017(以下:IUES2017)」が、6月末、深圳コンベンションセンターで開催された。北京、上海など各都市でドローンに関する展示会は多く開催されている。その中でも注目すべきは、世界最大のドローン生産都市である深圳で開催されることである。展示会を覗かない理由はない。編集部は一路深圳へと向かった。
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IUES2017は、2年目になる展示会で、北京で開催されている「International UAV Expo Chaina」の深圳バージョンである。その雰囲気は、他の世界中で開催されているドローン展示会とは一線を画くのが第一印象。それもそのはず基本的に深圳市がバックアップする深圳市企業(本社もしくは支社)のみが勢ぞろいしている。展示会の様子を説明するとほとんどが大型産業用、軍事、公安関連の展示がほとんどだ。すでにコンシューマ市場のほとんどはDJIが掌握しているために勝機が見いだせるマーケットにフォーカスしたことになる。
これがイケると思えば「公安関連」「軍用機」の分野で勝機のあるマーケットに多くのメーカが揃って突っ込む潔さが、深圳のダイナミズムかもしれない。以前は電気自転車からドローンへシフトしこの商売にかける関係者に聞くと「生き残りをかけてなんとかこのマーケットを掴む以外に生存する道はない。シリアスだ。」と語ってくれた。商魂逞しくわかりやすくチャレンジする姿は、機会があれば是非とも足を運んでその目で体験して欲しいところだ。
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深圳の特異性とスピード
さて深圳市は、特別経済地区として制定されたのが、1979年3月。それまでこのエリアは「宝安県」と呼ばれており、人口僅か30万人の漁民の住む田舎町だった。深圳の人口の98パーセントが他の地域出身社で占められている。人口は三十数年で30万人から約1500万人に増え、40代未満が全人口の約70パーセントを占め、65歳以上の人は2パーセントしかいない若い街なのである。
さて、展示会の方に話を戻そう。今回の展示会の特徴と言えば、繰り返しになるが、産業用大型機。まさしくドローンの機体展であったと言える。北米やヨーロッパの展示では、機体は1/3程度だ。その他は、ソフトウェアやアセットなどソリューション出展となる。しかしこの深圳での展示会では気持ちいいほどに見当たらない。その部分は、多くのメーカは海外現地法人や海外のパートナに委ねる行うことが多い。
深圳エリアで考えるとやはり機体製造のマニファクチャー部分のみであると言っていいだろう。NABshowやCESでコンシューマ機や中型産業機を展示していたメーカでさえもこの展示会では軍事及び公安用のための展示が多く見られた。それではその中でも目立ったものをいくつかピックアップして行こう。
展示会場から。全て深圳市のドローン企業
今やはドローン業の雄、DJIももちろん出展。SparKからInspire2まで全てのラインナップに人だかりができるドローン業界の人気の凄さが垣間見られた。本社出展ではなくディーラー出展だったという。その他は、深圳市に馴染みのある新旧のドローンメーカーが出展。会場のほとんどは大型機のドローンばかりである。
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◼︎天馬-1
会場でひときわ目を引いいたのが、精密業業用に開発された天馬-1モーターではなく全てローター部分は、エンジン6機を備え、40kgのペイロードで129分に飛行を実現するという。実際に飛んでいる映像もあったが、飛行時の機体制御などについては言及はなかった。
◼︎深圳市科業航空科技有限公司
直径2mを超える大型ドローンA51型。真ん中にポリタンクを設置しているが、これは、農薬や水を散布するためのタンクとなる。20Kgのペイロードで15分〜20分の飛行が可能だ。
◼︎MMC
最近北米での活動が目立つDJIからスピンアウトした産業用をメインとしたMMCの売りは、水素電池による長時間飛行の実現。今回は、新に第2世代水素燃料電池「hydrogen fuelcell H1-FuelCell」が発表された。水素電池部分の実際の公開されていなかった。 寿命が2.5時間から4時間に延長、各種監視や検査、安全保障などへの適用性が、大幅に改善することができる。-10~+40℃の環境にも耐えるという。水素電池が実装されたHYDRONE I550 は、3時間。HYDRON I800は、4時間半を誇るという。
◼︎AEE
CESやInterDroneなど国外での展示会は、民生用ドローンを展示しブランドイメージも民生品であるAEEだが、会場では、中型機から大型機を展示。中でも目を引いたのは公安用VTOL発車ランチャーを装備したパトロールカー。
■ART-tech
海外向けには大型産業機を展示していたART-TECHだが、やはり国内では軍事用のドローンを展示。物騒だが爆弾を積んだものも…。胡女史によると「やはりマーケットでいうと軍事向けはお金が大きく動きます。軍に機材を納入するためには指定業者になる必要があります」だという。海外向けには農業、建築検査産業向けドローンを中国国内では、軍事用をターゲットにしている。
■FEIFAN
ユニット型アーム付きドローンFEIFAN。展示されていたものはプロトタイプのみ。アーム付きドローンといえば日本のPRODRONEが既に実際に飛行可能になっているが、FEIFANは、まだ構想段階のようだ。将来的には1つのドローンだけではなく数機のドローンでまとめて作業を行うことが可能になるという。高層ビルの窓掃除などは壁面一度に行えるというというわけだ。また犯罪防止用に監視カメラとして使用し、何か事件が起こった場合はそのまま追跡調査もできる仕組みとなっている。今年の冬には実機が出てくるという。