多くの人で賑わう会場から伺える注目度の高さ
千葉県・幕張メッセで5月20〜22日の3日間、メカトロニクス・エレクトロニクス分野の要素技術展TECHNO-FRONTIER 2015(主催:日本能率協会)が開催された。この専門技術展との同時開催展示会として、展示8ホールの1エリアにドローン関連のブースやセミナー、飛行デモコーナーが集められ、日本初となる「第1回 国際ドローン展」が開催された。ドローンとは、小型無人飛行機の事を指す。
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ブースでは、各社が最新のドローンを出展したほか、ドローンを活用したサービスやソリューションをアピールした。会場の奥には、ネットに囲まれた「ドローン飛行デモンストレーション」コーナーが設けられ、飛行デモが始まると、頭よりも高い位置にドローンが上がらないと、動きが見えないほどの人垣ができた。
ドローンセミナー会場では、国土交通省、経済産業省、総務省、内閣府、福島県の省庁・自治体の取り組みが初日に紹介された。聴講無料のセミナーは、定員150名。Webからの事前登録制であったが、会場は各回とも満席。セミナー会場スペースの外からの立ち見が出るほど注目を集めた。ドローン落下事故などがニュースでたびたび取り上げられるようになり、ドローン市場の動向に関しての関心の高まりが感じられた。2日目、3日目は、各社のドローン活用事例に関しての報告と、ドローン産業の健全な発展と安全ルールと題した基調講演とパネルディスカッションが行われた。
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有料の国際ドローンシンポジウムでの野波教授によるプレゼンテーション
4ホールに設けられた技術シンポジウム会場においては、有料の国際ドローンシンポジウムも開催され、アメリカ・中国・カナダ・フランス・日本から7社のドローンメーカーの開発者が集い、ドローンの最先端情報や今後の展望を紹介した。
今考えるドローンのあり方
安価だが数100m離れたところまで飛ばせるコンシューマー向けドローンの登場で、誰もが気軽に航空写真が楽しめるようになった反面、墜落のビデオがYouTubeに投稿されたり、実際に街中で落下したニュースが頻繁に聞かれるようになった。「ドローン」という言葉は、急速に一般人にも知られるようになってきたが、ドローン=違法で危ないもの、というイメージが先行する事は残念なところだ。各社ブースでも最近の落下事故を憂いつつ、先行イメージの払拭に向け、ドローン本体の墜落防止への取り組みはもちろん、操縦者の養成や保険条件の拡充など、産業用ドローンをいかに安全に活用していくかに取り組んでいた。
産業用ドローンになると全長2mにもなり、耐加重も15kgと大容量になる
ドローン利用シーンとしては、建築・土木分野の測量利用が先行している印象だが、被災状況の確認や噴火口観測など災害活用や、農薬散布などの農業利用など、活用してみたい分野は着実に広がりを見せている。無人飛行機にドローンを組み合わせた垂直離着陸の取り組みや、3輪バイクや軽トレーラーを組み合わせたモバイル運用の取り組みなどを見ると、ドローン自体の進化と運用面での改善の余地もまだまだ残されていることがわかる。利用シーンが増えるにつれ、より使いやすいものに変わっていきそうだ。
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ドローン展の開催の意味
今回は初回ということで、1〜2小間のブース規模が中心で、パネルやカタログによる紹介だった。その中にあってPRODRONEブースでは実機に加え、撮影した映像を組み合わせて紹介。やはり、映像による紹介はインパクトは大きい。今後は各社とも、実際に測量した映像の紹介や、撮影画像から3D化するデモなども、ブースで実際にデモしていく方向になっていくのではないだろうか?
TECHNO-FRONTIERは産業向け展示会であり、その技術を必要としている人のみ訪れるはずなので割とゆったりとした会場だったが、国際ドローン展のエリアだけが通路ですれ違いにくくなるほど混み合った。取材した初日は、ドローン活用を検討している来場者のほか、テレビ局の取材クルーも多く訪れた。キー局はもちろん、地方局や制作プロダクションまでが取材に入り、狭い通路でブース関係者や来場者にインタビュー合戦を繰り広げた。ドローン市場は、今後もさまざまな分野から注目され、市場が拡大していくだろう。