日本オープンイノベーション大賞は、我が国のオープンイノベーションをさらに推進するために、ロールモデルとして期待される先導性や独創性の高い取り組みを称えるもので、模範となるようなもの、社会インパクトの大きいもの、持続可能性のあるものについて、担当分野ごとの大臣賞、長官賞、経済団体、学術団体の会長賞などが表彰される。
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同取り組みは、離島の災害対応や物流など地域固有の課題解決はじめ、瀬戸内町が目指す「誰もが住み続けたい」持続可能なまちづくりに貢献すべく産官学連携して取り組む先導性のある事業であること、および、他の離島や高齢化が進む地域、災害時の孤立地域・防災対応へのモデル展開可能性が高く評価された。
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取り組みについて
概要
奄美大島瀬戸内町において、2023年11月、瀬戸内町とJALはドローン運航会社AIDを共同設立し、2024年2月よりドローンおよびICT技術を活用した住民向け行政サービスを提供している。防災から生活物流にわたる課題に対応すべく、災害時と平時を区別しないフェーズフリーなドローン物流インフラを構築し、住民も参加するICT連携によって、僻地医療サービスの維持を図るなど、「誰もが住み続けたい」持続可能なまちづくりに、産官学連携し取り組んでいる。
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これまでの経緯
瀬戸内町は、その地理的条件から、二次離島(加計呂麻島、与路島、請島)を中心に、台風・豪雨など自然災害時には道路寸断で孤立集落が発生し、また、平時においても、船舶に頼る移動・輸送は時間がかかる上、天候により頻繁に停滞するなど、防災から日常生活面にわたる地域課題を抱えていた。
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人口減少・高齢化が進む瀬戸内町は、2020年、「誰もが住み続けたい」持続可能なまちづくりを目指す中、JALグループと連携協定を締結した。これら地域社会の課題解決に向け、ドローンやデジタル技術を活用した離島モデルの社会実装を目指し、防災科研ならびに筑波大学とも連携しながら、地域住民も参加しての共同検討・実証を重ねた。
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2023年11月、瀬戸内町とJALは共同出資にてドローン運航会社AIDを設立し、2024年2月より定期運航を開始、防災から生活物流にわたりドローン・ICT連携を活用した住民向け行政サービスを提供している。
AIDは、離島の地理や輸送物資の特性に合わせ、航続距離・積載重量に優れる大型物流ドローンを使用し、JALよりドローン運航管理・安全管理などのノウハウ提供を受けながら、与路島・請島への災害時・平時にわたりフェーズフリーに対応する運航体制を構築した。
こうしたドローン活用・ICT連携は、地域防災計画に反映されるとともに、処方薬のオンライン服薬指導導入により僻地医療サービスを維持するなど、持続可能なまちづくりに貢献している。
引き続き、瀬戸内町におけるAIDによる安全・安心なドローン運航事業を礎に、本取り組みを地域に根ざしたドローン・ICTを活用した社会実装モデルとして、奄美群島全体への拡大展開を目指していく方針だ。
JALと奄美瀬戸内町、共同でドローン運航会社「奄美アイランドドローン」を設立。Matrice30とFAZER R G2を運航
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国立研究開発法人防災科学技術研究所の主任専門研究員、内山庄一郎氏は次のようにコメントしている。
内山氏:このたび、栄誉ある賞を受賞したことを大変光栄に思います。本事業は、私たち防災科研が提唱する、地域の防災は地域で守る「地産地防」の理念に基づき、地域の力を活かしたイノベーションとして、平時から災害時まで活用できるフェーズフリーな仕組みを目指してきました。この受賞を励みに、地域とともに成長し、安全で持続可能な社会の実現に向けて、挑戦を続けてまいります。関係者の皆様のご支援に心より感謝を申し上げます。