海底での作業において、種や生息地の詳細な情報を収集し、その場所特有の知見を深め、水中の生態系に関する理解を広げる上で重要な役割を果たすとしている。
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従来、海底付近での近接作業では自律型水中車両(AUV)が用いられてきたが、堆積物を巻き上げ、観測の質を損なうという課題があった。また、車輪や脚を持つ底生ロボットは、サンゴ礁のような繊細な生態系では、接触による影響が懸念され、その適用範囲が限られていたという。
これらの課題を解決するため、新たなアプローチとして、操縦可能な水中車両が開発された。この車両は、最小限の乱流を発生させながら移動し、外部からの擾乱にも強く、海底から20cmの距離でも高精度な観測が可能だという。さらに、乱流や壁などの激しい擾乱を迅速に検出し、リアルタイムで経路を計画することで、海底への接触を回避する。
砂地、サンゴ礁、切り立った岩場など、様々な海洋環境でのテストの結果、堆積物の巻き上げが少なく、複雑な地形への適応性が高いことが実証された。この水中車両は、これまで困難だった海底付近の詳細な観測を可能にし、海洋生態系の研究に新たな道を開くことが期待されるという。