本訓練では、自動飛行型のLTEドローンが中北薬品の津島ヘルスサポートセンターから離陸、約5km先の愛西市災害対策本部へ医薬品を配送し、ドローンによる医薬品配送の代替手段が可能であることを確認した。
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これにより、南海トラフ地震による液状化現象と津波による浸水で道路が寸断され、医薬品の配送が困難となったシナリオにおいても、ドローン配送によって愛西市災害対策本部へ迅速な医薬品輸送を行うことに貢献できるという。
背景
平成23年3月11日の東日本大震災においては、東北地方沿岸部を中心に津波による甚大な被害が発生した。愛知県においても南海トラフ地震の発生が危惧されており、県民の関心が高まっている。
また、南海トラフ地震による液状化現象が発生した際は、住民にとって重要な災害拠点となる愛西市災害対策本部と医薬品の物流センター間の道路が使用できなくなることが想定されることから、車両輸送 に代わる配送手段が求められていた。
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実施概要とそのポイント
温度管理の必要な医薬品の配送
本訓練においては、インスリン製剤の配送を行うことから厳重な温度管理(インスリン製剤の場合、2~8℃帯での保存が必須)を求められている。
そこで、ドローン機体に設置するための専用輸送ケースの開発を行い、専用の医療用保冷剤に加えTOPPANエッジが開発した温度ロガー「オントレイシス タグ」を搭載することにより、温度履歴の管理を行った。
レベル3.5飛行を実現させるための自動航行システムと通信環境
本訓練においては、レベル 3.5飛行(DID地区を除くエリアにおける補助者なし/目視外飛行)を実施した。
一般的にドローン機体(DJI Matrice 300 RTK)とプロポ(送信機)の接続は2.4GHzの直接通信で行われているが、目視外飛行となる場合はLTE通信による機体制御と自動航行が必須となる。
今回は、KDDIスマートドローン株式会社が提供するDJI Matrice 300/350 RTK専用LTEアタッチメント「スマートドローンアタッチメント」を利用し、同社提供のGCS「スマートドローン運航管理システム・クラウド」を利用することで、レベル3.5飛行を実施した。
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今後の展開
今回は防災訓練の中でのドローン飛行だったが、南海トラフ地震の発生を見込み、道路等のインフラ構造物寸断下において、地域住民の命に関わる医薬品の安全で安定的な物流を守る取組みに今後も注力していきたいという。
また、中北薬品、グリーンサービス、ユタカコーポレーションは、今回のような激甚災害を想定したドローン輸送のみならず、病院や医師のいない過疎地域に住む高齢者に対し、オンライン診療×ドローンによる医薬品配送が普及することを想定して、平時・非常時共に地域の健康を支えたいとしている。