ロケットは正常に飛翔し、内之浦南東海上に落下した。今後、搭載した実験装置が取得したデータについて確認し、評価をすすめる。
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ロケット飛翔結果
ロケット機種・号機 | S-520-34 |
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打上げ時刻(日本標準時) | 11時30分00秒 |
発射上下角 | 76.0度 |
最高到達高度 | 217km (打上げ236秒後) |
着水時刻 | 打上げ459秒後 |
なお、打上げ時の天候は晴れ、北の風3.3m/秒、気温22.2℃だ。
結果報告会見
実験概要
観測ロケットS-520-34号機は、次世代の宇宙輸送システムや衛星・探査機の開発に向けた先進的な推進技術と制御技術の実証実験を目的としている。
搭載した2つの実験機器は、液体推進剤を用いたデトネーションエンジンシステム(DES2)、観測ロケット実験データを回収するための回収モジュール(RATS2)である。
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これらの実験を通じて得られるデータや知見は、革新的な宇宙技術の実用化に向けた重要なステップとなり、将来の宇宙開発に大きく貢献することが期待される。
液体推進デトネーションエンジンシステム(DES2)
デトネーションエンジンは、極めて高い周波数(1~100kHz以上)でデトネーション波や圧縮波を発生させることにより反応速度を格段に高めることで、ロケットエンジンを革新的に軽量化し、また圧力推力を容易に生成し、高性能化する。
デトネーションエンジンは、キックモーター、初段・2段エンジン、小型衛星・探査機用エンジンなどの多様な宇宙推進分野への応用が可能であり、現在、宇宙用高性能エンジンとして、実用化を視野に入れた研究が日欧米、アジアで活発である。
本実験では、観測ロケットS-520-34号機に、液体推進剤を搭載したデトネーションエンジンシステムを搭載し、宇宙空間にて,旋回型デトネーションエンジン(RDE)の燃焼及び推進性能のデータを取得した。
燃料にはエタノール、酸化剤には液化亜酸化窒素(N2O)を用いる。これらは窒素で加圧され、RDEに供給される。写真は、フライトモデルと等価なコンポーネントによって構成されたブレッドボードモデル(BBM)であり、本BBMの地上燃焼試験にて、エンジンへの燃料・酸化剤が安定に供給されることを確認している。
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これをもって、観測ロケットS-520-34号機実験は終了となる。