公開試験は2024年10月2日(水)に長野県安曇野市・矢原堰にて行われた。自治体職員、橋梁点検事業者など、約45名が参加した。水中の藻や浮遊物・段差などの影響を受けずに安定航行できるよう、船体上部に設置したプロペラを推進力としているため、水中生物を傷つける・不必要に水を撹拌するといったリスクもないという。
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参加者はFPVプロポによる水上ドローン遠隔操作による小規模橋梁点検を体験した。参加者のほとんどは水上ドローンの操作は初めてであったが、10分ほどで慣れ、堰にかかる橋の下を何度もくぐらせて撮影する、向きやスピードを自在に調整するなど、実際の橋梁点検をシュミレーションする動きを確かめていた。
水上ドローンによる小規模橋梁点検診断システム
水上ドローンを使った小規模橋梁点検診断システムとは、水上ドローンとAIを活用し、小規模橋梁の点検・診断・措置の記録データの可視化・一元管理を行う、早稲田大学 佐藤靖彦研究室と長野県安曇野市が共同開発しているシステムだ。
水上ドローンで撮影した橋梁の画像をAIスクリーニングすることにより、人が詳細確認するべき橋梁部位を自動的に診断。スクリーニング結果を地図上に可視化して情報を集約することにより、橋梁点検の省力化に貢献するという。
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開発の背景
長野県安曇野市は管理している橋梁の90%以上が堰や用水路にかかる小規模橋梁であり、桁下が低い・橋長が短いといった理由で人や点検車が入りづらく、橋梁点検の労力が大きな負担となっており、安全に効率よく点検できる仕組みを模索していた。
従来の橋梁点検方法との比較
橋梁点検にかかる時間の目安は以下の通り。
点検車 | 126分/橋 |
梯子 | 114分/橋 |
通常目視 | 96分/橋 |
水上ドローン | 5分/橋 |
※面積60㎡(橋長×幅員)の橋を想定(提供:早稲田大学 佐藤靖彦研究室)
2人で週に10カ所回ると仮定すると、点検車を使用した場合と比較して約40時間/週(約1人分)の短縮に貢献することになる。
水上ドローンを活用する理由
同システムは橋梁の撮影が必須である。水上ドローンを活用すると水中の藻などが絡まず、堰や用水路の段差も越えることができ、安定したスムーズな映像を撮影できる。
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「水上を航行する」ため、1つの河川や堰・用水路にかかる複数の橋梁を、1台の水上ドローンで通過しながら連続で撮影できる利点もある。スーツケースで持ち運べて電車移動も可能なコンパクトな設計も、同システムによる小規模橋梁点検の省力化に寄与しているという。