赤外線カメラ搭載ドローンとAIの導入の背景
長岡塗装店はこれまで、特定建築物の法定点検や大型建築物の改修工事などで高所作業車や足場を設置した上で、全面打診による調査を実施してきた。
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外壁劣化調査は主に、改修工事実施に合わせた調査と法定点検のための調査の2つに分かれる。前者は改修工事のための足場を設置するため、足場を使用して全面の打診調査を実施可能だが、後者の場合は点検を目的としているため、足場の設置費用が建物の大きさに合わせて増加、足場を設置しない場合は低層を打診調査し、高層部は面積割合で高層部の劣化を予測して報告するなど、費用感や報告内容の正確性に問題があった。
このような問題を受け、国土交通省は2022年4月の建築基準法12条を改正し、打診にかわる点検手法としてドローンの活用が正式に認められ、長岡塗装店はこれまで培った打診調査の実績をもとに、赤外線カメラとドローンによる調査及びAIによる画像解析を検証し、大幅なコストダウンと安定した解析精度が認められたため、導入に至ったという。
赤外線カメラ搭載ドローンとAIによる「外壁劣化調査サービス」について
長岡塗装店の提供する「外壁劣化調査サービス」は赤外線カメラを搭載したドローンが撮影した熱画像データをAIを利用して解析し、調査報告書を提供するサービスだ。2023年度に公共建築物向けにサービスをリリースし、調査実績を蓄積し、この度、民間建築物(マンション管理組合・ビルオーナー)向けにサービスを開始した。
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特徴
修繕工事に向けた積算に活用
これまでは低層を打診調査、高層は調査面積をもとに低層部の劣化割合から概算で算出することもあったが、ドローンを活用することで、足場を組まずに高所部分の調査が可能になり、より実数に近い調査結果の算出が可能だ。
12条点検の調査報告に利用できる
全面的なテストハンマーによる打診等の調査方法として、特殊建築物等定期調査業務基準(2008年改訂版)(国土交通省住宅局建築指導課 監修)では、「外壁調査範囲に、足場等設置してテストハンマーで全面打診する方法」と「赤外線調査」が挙げられており、長岡塗装店の実施する調査業務は12条点検の調査報告に利用できる。
足場不要で調査コストを削減
高層ビルやマンションの調査には足場や高所作業車・ゴンドラなど、高所で調査するための仮設が必要だが、ドローンを利用することでこれらが不要になり、調査のためのコストを削減できる。
工期短縮
仮設のための申請や設置工事が不要となるので、それだけ早く調査に取り掛かることができる。また調査作業もドローンによりスピーディに撮影を行うため、調査期間を大幅に短縮できる。
AI活用で高品質の調査報告
国土交通省の委員等を歴任してきた一級建築士・工学博士 大場喜和の知見と、これまで蓄積された膨大なデータを学習したAIモデルを活用し、抽出・解析する。調査員の熟練度に依存しないため、効率的に正しい判定が可能だ。ノイズ(反射や映り込みなど)除去にも対応しているので、より高品質な調査報告ができる。