本開発品は、令和5年度 地域復興実用化開発等促進事業の「80kWハイブリッド動力システム」搭載大型ドローン(ガスタービン発電機を搭載した高ペイロード緊急物資輸送用ドローン)のガスタービン発電機に採用され、2月21日に福島県に納入された。
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NSKは本製品の売上として、2030年までに売上10億円を目指すとしている。
開発の背景
近年、新たな交通手段としてeVTOL (電動垂直離着陸機)の開発が進み、その市場規模は2035年に約20兆円といわれている。eVTOLの推進機構は、これまで完全電動式が主流だったが、更なる航続距離延長や運搬能力の向上などのニーズを受けて、高出力・小型軽量なハイブリッド電動式の需要も高まっていくことが予想されるという。
ハイブリッド電動式の中でも特に、ガスタービン発電機は、バイオ燃料や水素など多種燃料が使用可能であることから、カーボンニュートラルの観点でも、現状では最も現実的な推進機構として有力視されている。
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ガスタービン発電機に搭載される軸受には、航続距離延長に貢献する軽量化と高速回転性能が求められているため、最小限の潤滑油で、高速回転性能(dmn250万以上)を確保することが市場命題だ。
製品の特長
潤滑油の新しい潤滑機構を開発することで、軸受で必要な潤滑油量と、動力損失を削減。結果として、最適・最小量の潤滑油で高速回転性能(dmn250万以上)を確保した。
- 1). 潤滑油量の削減
従来の潤滑機構「ジェット潤滑」に対して1/4に削減。軸受潤滑油の給排油ポンプ、給油タンクの軽量化した。 - 2). エネルギーロス(動力損失)を削減
従来の潤滑機構「ジェット潤滑」に対して2/3に削減。 - 3). 高速回転性能(dmn250万以上)の確保
製品の技術
- 1). 新しい潤滑機構 概要
高速軸受で一般的な潤滑機構である「ジェット潤滑」の課題(潤滑油量が多量・エネルギーロス(動力損失)が大きい)を、より高速回転領域で使用される「アンダーレース潤滑」の給油方法を取り入れることで解消し、潤滑油量と動力損失の削減を実現。 - 2). 既存の潤滑機構の課題
「ジェット潤滑」は、給油機構に互換性が高い部品(間座)を使用しており、汎用性とコストの面で優れているが、軸受外部から高圧・多量の油を強制的に給油するため、潤滑油量が多量で動力損失が大きい、という課題があった。反対に、「アンダーレース潤滑」は、シャフト・軸受内輪に専用設計された流路から軸受内部へダイレクトに給油する方式で、汎用性が低く高コストになるが、必要量(少量)の油を遠心力で給油するため、潤滑油量が少量で動力損失が小さい、という利点があった。
- 3). 新しい潤滑機構 詳細
新しい潤滑機構では軸受内部へダイレクトに給油できる間座形状に改良することで、必要量(少量)の油を遠心力で給油。結果として、高い汎用性と低コストは維持しながら、潤滑油量・エネルギーロス(動力損失)の低減を実現した。
潤滑機構 | (従来)ジェット潤滑 | (従来)アンダーレース潤滑 | (NEW)新しい潤滑機構 |
---|---|---|---|
給油機構 | 間座、標準軸受を利用 | シャフト・軸受内輪に専用設計された流路を利用 | 形状を改良した間座、標準軸受を利用 |
汎用性・コスト | 高い汎用性・低コスト | 低い汎用性・高コスト | 高い汎用性・低コスト |
給油方法 | 軸受外部から間接的に給油 ⇒高圧・多量の油を強制的に給油 |
軸受内部へダイレクトに給油 ⇒必要量(少量) の油を遠心力で給油 |
軸受内部へダイレクトに給油 必要量(少量) の油を遠心力で給油 |
潤滑油量・動力損失 | 多量・大 | 少量・小 | 少量・小 |