背景
ドローン利活用による鹿児島県の稼ぐ力強化策の一環として、基幹産業の観光分野に着目した。鹿児島県の観光は、新型コロナウイルス感染症拡大により、国内外の観光客が減少し、大きな影響を受けている。昨今より回復傾向にあるものの、過去の水準以上の誘客には、県ならではの観光コンテンツの充実が地域課題だ。
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このような背景を受けて鹿児島市内の観光コンテンツのひとつである桜島・錦江湾におけるイルカウォッチングに着目した。モバイル通信に対応した自律飛行型ドローンの特性を活用した観光客とイルカの遭遇支援を行うことで国内外の誘因訴求としての付加価値を創出し、鹿児島県ならではの観光コンテンツの充実や観光客の満足度向上につなげることを目指すという。
さらに、鳥瞰的な湾岸巡視を付加することで、今まで確認が行き届きにくかった場所へのドローンを活用した巡視が可能となり、観光客や地元住民への安心・安全の提供につながるとしている。
実施概要
今回の実証実験では、2つのユースケースとして「イルカウォッチング支援」と「湾岸巡視」について、コンソーシアム内で以下の役割において実施した。
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各社の役割 | |
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DDH | 本事業代表窓口・実証実験に係る諸調整・取り纏め |
BMC | 船舶・海上に係る諸調整・手配・海上環境やクルーズに係る知見提供 |
KDDI | 運航オペレーション、自律飛行型ドローンの運航管理システム・通信回線・機材の提供 |
イルカウォッチングの実証では、遊覧船がイルカに遭遇するために2時間以上を要する傾向にあるが、観光コンテンツとしては時間を確保可能な観光客に限られている。そのため、イルカ遭遇効率が良い指定エリアの海域上空をスマートドローンが巡回しイルカの群れを探索、イルカの発見に成功すると、遊覧船はその位置情報を把握して最適な航路で現地に向かう。
ドローンを活用してイルカの遭遇率を上げることで、今後のイルカウォッチングの利用客増加、さらには鹿児島市で楽しめる観光コンテンツとしての認知向上に繋げるとしている。
湾岸巡視では、大雨や自然災害などの事後の状況把握、避難港などの立入り禁止区域などで異常を発見し、初動対応などの検討を想定した。今回の実証では、海上や砂浜に打ち上げられ満潮時には再び漂流する可能性のある流木の状態や火山災害発生時に住民の避難のために設置されている避難港と併設されている退避舎がある立入禁止区域の状況をドローンから鳥瞰的に確認できることが分ったという。
また、観光コンテンツと湾岸巡視の複数用途における複数機同時運航も行い、目的別の同時情報取得も実施した。
今後の取り組み
今回の実証を踏まえて、鹿児島ドローンビジネス創出コンソーシアムとして、湾岸の安心・安全の向上を目指した地域課題の解決や鹿児島の資源を生かした地域特色による地域経済の活性化に貢献できるようなビジネスモデルの創出に寄与していくとしている。
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※本実証は、自律飛行型ドローンを活用したビジネスモデルの創出に向け、県が支援する「地域課題解決型ドローン実証実験補助金」に鹿児島ドローンビジネス創出コンソーシアムの構成員として提案し、2023年6月16日に採択されたことを受けて実施するものだ。