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高度成長期に整備された道路橋やトンネルなど社会資本の老朽化問題への対策が急務となるなか、インフラの点検・メンテナンス分野においては、新たな技術の導入による省力化と作業の安全性や品質の向上が求められている。
今回、対象橋梁となる広島空港大橋はアーチ間380m・橋長800mにも及ぶ日本最大のアーチ橋で、従来の定期点検においては、ロープアクセスや梯子の昇降により支柱を直接目視して変状箇所を発見していたが、高所・狭所・暗所などで危険を伴う作業であることからリスクの低減に向けて新たな点検方法を模索した。
今回は、ドローン(2種類)を活用して橋梁の支柱内外における「腐食(錆)」「防食機能の劣化」「漏水・滞水」など変状箇所の検知に取り組み、従来の直接目視と同等の品質で健全性の診断を行うことができるか、また、省力化や高所作業のリスク低減についても今後の実用化を見据えて検証・評価した。
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支柱の外側は、自律飛行ドローンを活用し、搭載されたカメラで取得した映像から自己位置推定と環境地図作成を同時に行う技術である「visual SLAM」を用いてAIによる自立飛行で点検を行い、鋼材表面の変状箇所(腐食や防食機能の劣化)の確認、また、画像処理による腐食範囲の検知が可能であることが実証された。
ドローン飛行上の懸念事項が多数あるが、狭小空間専用ドローンを活用することで死角のない撮影に成功した。照度不足により腐食等の損傷の判別が困難であるなどの課題も挙がったが、一定の成果を得ることができた。
今後は、撮影データから構築する3Dモデルの活用によって更なる効率化にも取り組む予定だ。また、定期点検だけでなく現地踏査や発災後の緊急点検時にも、短時間で状況を確認する際にドローンを用いた様々な活用方法について検証を進めることで、インフラの点検・メンテナンスの安全性向上および省力化に貢献していくとしている。