「スイシロウDX」はグリーンレーザーを用いて河川UAV測量を行う際に、データ計測時の指標となる“水の濁り”を濁度計と通信システムを使って遠隔管理し、業務改善を行うものだ。測量作業のロスを省き、建設業界の働き方の改善にも大きく寄与するとしている。
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DX化に向けた測量の変化
昨今、異常気象などによる自然災害は増加傾向にあり、道路や河川、構造物などを事前に調査し、防災・減災対策を講じる必要性が一層高まっている。また、近年浸透している「DX」は、技術開発コンサルタントが生業としている土木業界でも広がりを見せ、測量現場においてはドローン(UAV)を使った測量・調査が増加している。
ドローンを測量調査で使うメリットは、高精度・短納期で、測量後のデータをそのまま設計から工事用データとして利活用できることなどがあり、防災対策を早期に進めるために重要なアイテムだ。最近では、グリーンレーザースキャナを用いた河川UAV測量が、公共事業での業務委託として開始した。
グリーンレーザースキャナの弱点を改善する新サービス「スイシロウDX」
グリーンレーザースキャナは、上空から河川に照射すると、河川付近の陸部と水部の地形データを同時に取得できる。グリーンレーザーは水を透過するので、河床(水部)の地形も取得可能だ。しかし、グリーンレーザーには大きな弱点があり、それは「濁り」だという。
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水の濁りが大きい環境下での計測は、河床の地形データがうまく取得できず、精度が落ちるため、河川の濁りが少ないタイミングを見計らって計測を行わなければいけない。現状では現場に直接足を運び、濁りが大きければ撤退して別日に測量を行う必要があるが、人員配置やその先の作業工程にも影響を及ぼすため、タイムロスを防ぐことが課題だという。
技術開発コンサルタントが新たに始めるサービス「スイシロウDX」は、この課題を解決するできる。サービスの主な内容は、以下の通り。
- 河川へ事前に濁度計を設置。
- ロガーとアプリケーションを利用して河川の濁度計測・データ収集を自動で行う。
- 収集したデータは、通信システムによりクラウド上で記録し、データを利活用しながら測量業務を行う。
スイシロウDXはシステム開発ではなく、既存の機器やシステム・アプリケーションを選定し組み合わせて活用することで実現するサービスだ。技術開発コンサルタントは、2014年頃に東北地域からの依頼で、放射性物質を含んだ田んぼの濁り水から稲を守る装置を実験・開発した経緯があり、その経験を生かした新サービスを提供する。
品質向上と業務改善
根拠に基づく「見える化」で品質向上
- リアルタイムの濁度計測により最適値を判断することで、品質の高いデータ収集が実現。
- 測量作業中の濁度データも記録できるので、報告書の成果データ(根拠)として使用可能。
効率化から業務改善に直結
- システム運用により長期間のデータ収集と記録が可能で、クラウド上から濁度を把握できる。
- 遠隔地でもリアルタイムに作業可否を判断でき、作業員の無駄な出動を減らせる。
- 最適値を判断して計測することで、計測不備による再計測のリスクを回避。
令和5年度埼玉県の一般競争入札における河川のUAVレーザー測量業務について、「水質・濁度調査を実施すること」が特記仕様書に明記された。今後、グリーンレーザーを活用したUAV測量を発展させるにあたり「濁度」は重要なポイントだという。
今後の展開
河川のUAV測量における濁度調査を土台に考案された「スイシロウDX」だが、このサービスは水位計や流速計、湿度などのセンサーを組み合わせて様々な業務に活用していくことが可能だという。災害時のデータ収集用ロガーなどとしても幅広く活用できるとしている。