愛知県では、あいちロボット産業クラスター推進協議会を核とし、無人飛行ロボット(以下:ドローン)の開発支援や、社会実装を目指した実証実験の実施など、ドローンの産業活用に向けた取り組みを推進している。
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2022年12月より、ドローンの有人地帯における補助者なし目視外飛行(以下:レベル4飛行)が解禁となり、より一層の物流や点検といった産業活用が期待されている。
そこで、今年度は「レベル4飛行を用いた新ビジネスの実現」に向けた課題を明らかにするとともに、その解決に資する新技術を活用した先進的な実証実験を行い、新たなビジネスモデルの創出・発信を目指すという。併せて、活用を担う人材や、製造を担うエンジニア育成などを目指し、人材育成講座を開催する。
実証実験概要(予定)
実証地域 | 豊川市内 |
実施分野 | 「2024年問題」と呼ばれる労働時間制約による労働力不足が危惧される「物流分野」を対象として実施 |
実験内容 | 薬品卸業者から薬局店舗等への医薬品等配送について、トラック配送をドローンが代替するビジネスモデルを想定した実証実験を実施する。ビジネスモデルの成立には、天候によらない安定した運用、1対多運航による採算性の向上が必要となる。 実験に際しては、河川上空を航路としたDID地区(人口集中地区)で飛行を行い、耐候性に優れた全天候型ドローンを活用する。さらに、1対多運航(1人の操縦者が複数機体を運航すること)に対応する運行管理システムを活用し、同時に複数のドローンで異なる医療機関への配送を行う。 |
使用予定のドローン
株式会社プロドローン製「PD6B-Type3」
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スペック | 機体サイズ:2,181mm×2,398mm 推奨ペイロード(最大積載量):20kg 飛行時間:20分(4.9kg搭載時) |
特徴 | ドローン配送本格運用機体。保護性能企画IP44※をクリア。 |
※ あらゆる方向の水しぶきからの保護性能等の試験実績
1対多運航に対応する運行管理システム
KDDIスマートドローン株式会社が開発を進める運行管理システム。1人のオペレーターが複数の機体の操作を行う。
事業実施体制
名古屋鉄道株式会社に事業委託し、同社を幹事会社とする企業グループで事業を実施する。
企業および団体名 | 役割 |
名古屋鉄道株式会社 (名古屋市中村区) |
事業総括、関係者調整等 |
株式会社プロドローン (名古屋市天白区) |
機体開発・運航 |
KDDIスマートドローン株式会社 (東京都港区) |
通信、飛行制御システム |
大同大学 | 技術協力、アドバイザー |
株式会社グリーンサービス (名古屋市北区) |
医薬品配送における実証協力 |
中北薬品株式会社 (名古屋市中区) |
医薬品管理における実証協力 |
サーラ物流株式会社 (豊川市) |
実証実験協力 |
豊川市 | 実証実験協力 |
東三河ドローン・リバー構想推進協議会※ | 実証実験協力 |
※豊川市、新城市を事務局としたドローン・エアモビリティに関する官民協議会
今後のスケジュール
2023年8月上旬 | 実証実験内容検討・技術面でのルート検証 |
2023年8月~9月 | テストフライト実施 |
2023年10月~11月 | 実証実験本番 ※実証実験の日程は別途調整の上、決定 |
2023年12月~2024年1月 | 実証実験結果の分析、追加調査、ビジネスモデルの作成 |
2024年2月~3月 | 成果発表会 |
人材育成講座概要
テーマ1
講座名 | ドローンを活用したインフラ点検講座 |
目的 | 今後の市場拡大が期待されるインフラ点検について、全体像や求められる成果物の実態理解、点検に求められる撮影技術の訓練等を通じて担い手の育成を目指す。 |
内容 | [座学](講演、質疑) ・橋梁基礎、点検の全体像 ・画像解析の流れ等 [実技]・機体・機材実習 ・点検飛行実習等 |
講師 | 三信建材工業株式会社 開発室室長 石田晃啓氏 |
テーマ2
講座名 | レベル4飛行制度・一等実地試験(終了審査)の理解促進講座 |
目的 | レベル4飛行を行うには、一等無人航空機操縦士資格の取得が必要となる。本講座を受講することで、レベル4飛行制度及び一等実地試験について理解を深め、一等資格取得の契機にしてもらう。 |
内容 | [座学](講演、質疑) ・レベル4飛行制度、実地試験の概要 [実技](実技体験) 一等ライセンス実地模擬試験 ・試験合格に向けた訓練等 |
講師 | 名鉄ドローンアカデミー 講師 田村和大氏 |
テーマ3
講座名 | ドローンエンジニア育成講座 |
目的 | ドローン企業が求めているドローン製造のスキルを持つ人材が不足しており、エンジニア育成は重要な課題になっている。実際にドローンの組み立てから飛行までを行ってもらい、ドローンに対する理解度向上を目指す。 |
内容 | [座学](講演、質疑) ・ドローンの仕組み、制御 ・フライトコントローラーの仕組み、種類等 [実技]・機体の組み立て、プログラムの書込み ・飛行テスト等 |
講師 | 大同大学 講師 橋口宏衛氏 |
参考
無人飛行ロボット活用促進事業について
ドローンの活躍が期待される分野において、実用化レベルでの運用に即した実証実験を通じて、新たなビジネスモデルを創出・発信する。これまでの取り組みは以下の通り。
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年度 | 事業名 | テーマ |
2019年度、2020年度 | 無人飛行ロボット社会実装推進事業 | 荷物輸送 |
2021年度 | 無人飛行ロボット活用促進事業 | 広域社会インフラ点検 |
2022年度 | 無人飛行ロボット活用促進事業 | 防災・災害対応 |
あいちロボット産業クラスター推進協議会について
目的 | 産学行政が連携して、ロボットの研究開発や生産の拠点を形成し、新技術・新製品を創出していくことにより、世界に誇れるロボット産業拠点の形成を目指す。 |
設立 | 2014年11月 |
体制 | 会長:愛知県知事 事務局:愛知県経済産業局産業部産業振興課次世代産業室 |
主な活動内容 | ◯ロボット産業拠点の形成に向けた方策等の検討等 ◯ワーキンググループによるロボットの開発や実用化、普及に関する取り組み ・製造・物流等分野ロボット導入実証ワーキンググループ [座長]中部大学理工学部AIロボティクス学科教授 梅崎太造氏 ・医療・介護等分野ロボット実用化ワーキンググループ [座長]国立長寿医療研究センター理事長 荒井秀典氏 ・無人飛行ロボット活用ワーキンググループ [座長]大同大学工学部機械システム工学科 講師 橋口宏衛氏 |